恋と知ったその時は

「ねえクォヴレー」

「何だ?」

目の前に座っているゼオラが話しかけてきた。

何やらものすごく目が輝いているように見えるのだが…

隣にいるアラドは食べる事に夢中になっている。

近くにいるヒイロやデュオはゼオラの声に反応した。




「クォヴレーって、紅葉さんの事、好き?」




ブッ!!!




俺は飲んでいたジュースを吐き出してしまった。

あまりにも唐突過ぎて言葉が出なかった。

ヒイロとデュオは目を見開いて俺を見て……いや…もはや見開くどころか確実に睨んでいる…!





「な、何故そんな事を訊く?」

「えー。だってクォヴレーったら何時も紅葉さんを見ているんだもの」

「何だと…?」

何時も紅葉を見ているだと…?

それではまるで…


「ストーカーしてねぇだろうな」

デュオが睨んで来た。

かなり疑われている。

何故そうまで疑われているのだ俺は。


「………」



チャキ



「ちょ! ヒイロ、銃しまいなさいよ!」

ヒイロなんかはいきなり銃を俺に向けてきた。

…俺はコイツらに恨み買われた事をしたか?



いや、しかし



「好き…とは?」

「えー、たとえば誰かに恋するとか」

「恋…?」

「そ。誰かを好きになるって私は良い事だと思うわ。特にクォヴレーはね」

微笑みながら語るゼオラに俺は何も言えなかった。



恋、か。

俺には関係のない感情、のはず。


だが…

この胸の中を渦巻くこの霧は一体何なのだ?





「あ、紅葉さんだ」

食する事に夢中になっていたアラドはたまたま廊下を歩いていた紅葉を発見した。

よくわからんが俺は反射的に廊下を見つめた。

最後見えたのが深紅の髪だった。

俺は、それを未練がましく見ていたのを認めた。














恋と知ったその時は

(モヤモヤする、とは優れん)


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