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 「ある日のご相談」 ◆



*

「ん?」
「イド?どうした?」
「ここの自販機のアイス、種類変わったか?」
「んー?ああ、これとこれか?」
「こっちは?前からあったか、こんなの」
「あったよ。プレート間違って入ってるって騒いでたから確か…言わなかったっけ?」
「あーそんなこともあったようななかったような…」
「あったあった」
「ふむ…」
「なんだ、買うのか?」
「君は?」
「俺?買う気はなかったけど…どうしようか迷い中。財布の中身と相談…あ」
「金ならあるだろ、さっき私が返した150円」
「うー…どうしようかな…イドは?」
「コルテスは?」
「イドが買うなら買う」
「私はコルテスが買うなら買う」
「決まらねぇ!」
「今日ってなにかあったか?」
「なにか?いや…何も」
「じゃあ何かのご褒美という手は無しか…」
「あ。俺今日の講義一度も寝てない」
「…」
「俺が悪かった謝るからそんな目で見ないでください」
「はぁ…しかたない。いつものアレ、いくか」
「アレか。いんじゃね?じゃあ、イド、おまえどっちにする?」
「じゃあ…私が勝ったら、買う」
「りょーかい。俺が勝ったらそのまま帰宅、だな」
「では」
「おう」
「さーいしょーはぐー」
「じゃーんけーん」
「「ぽん」」

*

ふわっ、と。日が沈みきり、僅かにグラデーションが残る空に、白い息が二人分はきだされる。
150円の濃厚ミルクアイスをかじりながら、寒いとコルテスが震える。それを横目で笑いながら、イドルフリードも自分の買った宇治抹茶が溶けないようぺろりとなめる。こんな寒さじゃ、そうそう溶けるはずもないのだけれど。

「冬のアイスというのも乙なものだなっ」
「さみぃ…うまいけどさみぃ…」
「それを承知で買ったんだろう。あ、こたつでアイスはいいぞ。あとで雪見だいふくを買ってやってみたまえ」
「それ最高じゃねえか」
「だからそう言っているだろう」

ぎゃあぎゃあ。騒いでいると、暗くなった空から、ひらり。

「あ、雪」
「うっわ、通りでくそ寒いと」
「雪を見ながらアイスだなんて、贅沢だなっ」
「心底嬉しそうなおまえが俺には理解できない!」

寒空のなか、風邪を引かないようにとそろって暖かい部屋を目指すことにした。

*

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