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 コルイド



わかったことは、わたしはどうやら風邪ネタが大好物らしいってことですね!前にも書いた気がするけどあれたしかDVコルイドだった気がするから、今度は幸せ系で。


*

けほ、けほ。手をあてた口の隙間から漏れてくる呼吸は、ぜいぜいと苦しそうなもので。
様子を見に来たコルテスが、苦笑しながらベッドに腰かける。

「あーあ、本格的にひいちまったな」
「…私としたことが」
「ほら、とりあえず横になっとけって。顔真っ赤だぞ」
「うるさ、っ平気だ…けほ」
「はいはい、病人が強がらない」

放っておいたら仕事をしだしそうなイドルフリートを、子供にするように寝かしつける。不服そうにこちらを睨んでくるのが雰囲気だけで分かるけれど、こっちだってうつされたらたまらない。
濡らした布を額にかけつつ、ぽんぽんと撫でてやる。

「まぁ、今は他のやつが代わりに仕事してくれてるから。とりあえずお前はゆっくり休めよ」
「…」
「んなぶすっとすんなって。風邪なんざ、引くときは誰だってひいちまうもんだし。気にすんなって」
「…嫌だ」
「は?」
「やっぱりわたしもいく」
「え、ちょちょちょ、イド!?」

もそりと起き上がったイドルフリートに、コルテスが目を見開く。ふらふらなくせにベッドから降りようとするのを必死に食い止め、いいから大人しくしてろとなだめすかしつつ。

「いいから寝てろあほ!」
「このふねのこうかいしはわたしだ!」
「沈没しそうだな!!」
「いいからどけ…ッげほ、けほ」
「誰が退くか!」

低能はそっちだろ、そういいつつ背中をさすってやると、冷静になったらしいイドルフリートが、しゅんと肩を落とす。

「まぁ、丈夫なお前のことだ。すぐに動けるようになるさ」

そういって、仕事に戻ろうと腰をあげかけたとき。

くん。

幽かに。ほんの幽かに、シャツの裾を引っ張られ。驚いた反動で、再度ベッドに腰が落ちる。
ぱちくりと引っ張ったものの方を見ると。

「……。イド?」
「…」

引っ張ったのは、俯いたままふるふるとうでだけ伸ばす、イドルフリートで。ちょっと状況が把握できないぞーと、コルテスが混乱していると。

「…」

ぱっとつまんでいた指を離し、そのまま毛布のなかに隠れてしまった。まさか。

「…なにお前。もしかして、さみしい…とか?」

正解、と言わんばかりに膝がとんできた。丸まった状態で蹴りをとばすとはなんと器用な。
相変わらず顔をだそうとしない毛布の山に向かって、わざとらしいため息をつく。

「皆に指示だけだしてくるから、待ってろ」

くすりと笑いながら今度こそ立ち上がり、部屋を出る。持ってきてこなす仕事って何があったかな、そう考えるコルテスの背後で、もそもそと毛布の山が崩れた気配がした。

『風邪にご注意』

*

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