乱暴にそこへと投げ入れられ床に体を強打した嘉月はうっと短く呻き声を上げる。
 なんだなんだと集まる野次馬を無視し、男は縛られている嘉月の両手を梁から垂れ下がった紐で上に上げさせ、地に足の爪先だけがギリギリつく高さで吊した。手首は紐で擦れ血が滲み、肩の骨はギシギシと軋む。
 嘉月は苦痛で顔を歪め、下ろして、と必死に叫んだ。
 そこへ今日の昼間見た、朝霧が楼主と言っていた男が現れた。後ろからは朝霧が何かを言いながらついてきている。

「お願いします楼主! 今回だけは見逃してください!!」

 そんな朝霧を無視し楼主は無惨なことを平気な顔で言う。

「他のヤツ等への見せしめだ。やりな。ああ、顔には手を出してやるなよ。殺すだなんて以ての外だからな」
「楼主!! やめてください!! 楼主っ!!!」

朝霧は何度も何度も叫んだが、楼主の考えは変わらなかった。

 体全体が軋む。痛い。鞭で体を打たれたり膝で腹を突き上げられたり、チリリと痛くなるまで火で炙られたりを繰り返された。痛くて意識を手放そうとすれば、冷たい大量の水を掛けられる。雪も降るこの寒さの中、水を掛けられ、痛みの感覚が鋭くなっているところを鞭で打たれたらたまったもんじゃない。
 この見せしめが終わったのは日が暮れる少し前だった。吊されていた紐を小刀でぷつりと切られる。



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