其ノ三十四
 

 結局最後は妖怪に食われた。雨露はそう思いながら浄化する為に鱗へ近付こうとする。
 しかし、一歩踏み出した途端にヒュンッと風を斬る音が聞こえ、素早く後ろに下がった。
 カランッと小気味いい音を立てながら苦無が下へ落ちる。
 その苦無が首を掠ったのだろう。雨露の首から血が少量飛び散った。その血はパタリと落ち、地に模様をつくる。
 まるでそれを美味しく飲んでいるかのように、ゆっくりと土は下へ下へと吸い込んでいく。
 その怪我を保護するために雨露は軽くその場所を手で覆う。じんじんと痛むものの、死に至るような傷ではない。
しかしじわじわと、確実に白い服に血が染みていった。



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