其ノ二
 

 大きく姿を変えた亀が、でかい口を開き声を発する。
 それだけでも辺りの木々は揺れ動き、大きく低い声は身体へ直接響く。

「某を馬鹿にしちゃあいけないぞ。まあいいや。早く乗れ! 今から出発しなけりゃ日が暮れて海が危ないからね」

 乗ることを促され、少し戸惑いながらもひらりと亀の背中へ飛び乗った。

「じゃあ出発するぞ。落ちたら鮫に食われちゃうからね」

 鮫に食われるのは流石に嫌なので、二人は亀に落とされないことを願った。
 じゃあ動くね、そう亀が言った途端に、白波を立てながら動き出した。
 銀露の姿がすっかり見えなくなった頃、雨露はあることに気付く。



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