其ノ二十四
「解ってるって」
呆れた顔をしながら雨露は言う。雨露の反応からするに、この式はいつも主に対してこのような態度をとっているらしい。
そのことよりも、元の姿に戻すということはどういう事なのだろうか。翡翠ははやくも気になっていた。
そんな事はお構い無しに事は進んで行く。
準備は終わったらしく、泡沫は歪みのない綺麗な円の中に書かれた五芒星の上に立ち、雨露は人差し指と中指を立てるように手を形作り言霊を口にしていた。
「我に使えし冥界の鳥、碧鳥。その持つ力、解放いたせん」
突如として当たりが青白く光る。その光を発しているのは泡沫のようだが、眩しすぎて定かではない。
しばらくして光は収まる。
目の前の光景を見、翡翠は唖然とするほどに驚いた。
視界に映るのは雨露と泡沫、では無く、雨露と碧鳥だったからだ。
碧鳥は青い羽を挨拶の代わりと言わんばかりに、ばさばさと動かす。
その瞬間風が吹き荒れ、翡翠と雨露は目を細めた。
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