其ノ六
 

 それにしてもこの妖刀はどのような物なのだろうか。彼が持つ妖刀はいったいどうやってできたのだろうか。
 雨露は気になって仕方がない。
 ちなみに妖刀には二つの出来方が存在する。普通の刀だった物が人や物の怪、妖怪を数千と斬って妖力を得てしまう物と、妖怪の牙や爪、鱗から打ち出した物。勿論前者も後者も怨念やら何やらを持っている。そのどちらとも意志を持ち、邪気を纏い持ち手をそれで蝕んでいく。それは持ち手が妖刀よりも弱ければの話しだが。
 しかし、どんなに強い人物が持ち手でも霊力の強い者はその刀が放つ邪気や妖力を感じ取れるはずなのだ。
 だが、先程も言った通り今目の前に居る翡翠からは、その邪気や妖力を感じられない。
 だからこそ雨露は、腰に掛けられているのはただの刀なのかあるいは本当に妖刀なのか、無性に試したくなった。雨露は先程までの面倒そうな顔とは違い微かにだが楽しげな顔をしている。
 彼はなるべく落ち着いた様子で、何も悟られぬように。ゆっくりと口を開いた。

「ねえ、その腰の刀、僕に持たせてくれない?」

 そう言った雨露に翡翠は不安げな顔をし声を発す。

「俺は問題ないが、雨露は大丈夫か?」

 雨露は疑問に思い微かに首を傾ける動きをする。

「大丈夫だよ」

 そう言い、翡翠の方へ手の平を見せるように両手を出した。



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