拍手*寂しい/龍馬さん


「ワシが京を案内してやるぜよ!」

朝起きたら龍馬さん以外はみんなそれぞれお仕事だとかで既に出払っていた。
「おまんは何か予定あるがじゃ?」と聞かれ、右も左もわからない私に予定があるわけもなく、首を横に振ると龍馬さんがにししっと笑いながら冒頭の言葉を言った。
着替えの着物も貸してもらい、着替えてから鏡を見る。何となくすっぴんでいるのも憚られて鏡台の前に座ってスクバから出した化粧品を広げた。
マスカラとかつけたらさすがにリムーバーないと落ちないよね…うーん
軽くパウダーとグロス、チークくらいにしとこうかなぁ

がちゃがちゃと化粧品を出し入れしてるとがらっと襖が開く。
龍馬さんがひょこっと顔を覗かせた。

「用意でき…何しちょるんじゃ?」

「あっごめんなさい龍馬さんもう少しだけ待ってて貰えますか?」

「それはえいが…」

「じゃあ座って待ってて下さいね」

そう言ったは良いものの、龍馬さんは私のすぐそばで化粧品をあれこれ眺めていた。
うっ…さすがにじっと見られながら化粧するのは恥ずかしい…

「龍馬さん、その…ちょっと近いです。あんまり見られると恥ずかしいって言うか…」

「…」

「龍馬さん?」

「あんまりおまんがワシを見んから寂しくなったんじゃ…」

「えっ…」

しゅん、とすると龍馬さんは後ろにずりずりと下がった。
私は慌てて化粧を仕上げて龍馬さんに向き直った。

「龍馬さん!行きましょう!」

「…もうえいがか?」

「はい!大丈夫です!」

「ほうか」

途端に笑顔になる龍馬さんの後ろについて部屋を出た。
あんなこと言われたら化粧なんか呑気にしてられないよね…









(拍手ありがとうございました!)


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