ありふれた非日常
ありふれた非日常
「ん、んんーっ」
「やっと起きたの?待ちくたびれたよ」
「え?」
眠い目を擦っていたら真横から聞こえるはずのない声が聞こえて思わず固まってしまった。
ゆっくりと首を傾けたら、予想通り眠そうな顔でユーリスがそこにいた。
「…っな」
「何で、じゃないからね。僕をベッドに引きずり込んだのはミシャなんだから」
「えっええ!」
ユーリスの衝撃の発言に思わず頭を抱える。…記憶がない。昼間からの記憶がまるでない。どういうこと?私一体何したの?
「あーやっぱり覚えてないんだ…」
呆れたようなユーリスの声に私は小さくなる、気分的に。
「すいません…」
「まぁ、わかってたけどね、やっぱりね…」
はぁ…とユーリスがあからさまにため息をつく。
と言うかテンパり過ぎて忘れてたけど距離が異常に近い。
一人用のベッドだから元々小さいんだけど、何でこんな密着してるんだろう。って言うか何で私ユーリスと寝てるんだろう。
今の状況を理解すればするほど混乱してくる。何で!?どうして!?理由は!?
しかも離れるタイミングを失ってこの状態をどう回避していいかわからない!
「なに、もしかしてミシャ、離れたくないの?」
「!」
意地悪く笑ったユーリスが態と腰に手を回してくる。ただでさえ密着していたのにさらに近付いてもうどこを見ていいのかわからない。
「ミシャ顔真っ赤」
「赤くないよっ」
「じゃあ何でさっきから僕の顔見ないの?」
「それ、は、…っ」
答えに淀んでいるとユーリスの手がするっと脇腹に滑り込んできた。
「ちょっ、ユーリスっ…」
「ん?どうしたの?」
「ん…ぁっ」
「っ…!」
脇腹を摩られて勝手に声が出てしまう。
恥ずかしいと思って、思わず口を隠すとユーリスが真っ赤になっていた。
「え、ユーリスどうしたの?」
「っ…な、なんでもないよ!出かけるから早く用意してよね!」
早口でまくし立てるようにしてユーリスが部屋を飛び出していってしまった。
部屋にはぽかんとした私が残されるばかりだった。
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