JE REVIENS-私は戻ってくる-
「うわ…すごーい」
帝国本土と違い、ここルリ島はやけに自然に溢れていた。
あの日、傭兵団を飛び出してから一年以上が経っていた。
当然の如く昔の野営地に彼らはおらず、人づてに聞いて回り今ルリ島にいるらしいと言うことがわかった。
「広いんだけどこの島…ちゃんと会えるかなー」
と言うよりも居るかすらもわからない。もしかしたらまた別のところに移動している可能性もある。
そうしたらまた追いかけるしかないけど。
街をぶらぶらと歩く。どこもかしこも活気に溢れている。
出店を覗いたりしつつ歩いているとふわりと銀色が視界を掠める。
惹かれるように振り向けば、銀色が揺れて、青い瞳がこちらを向いた。
…少し背が伸びたかな、同じくらいだったはずの身長はきっと今は彼の方が高い。
それでも銀色の髪も綺麗な青い瞳もあの日のまま変わらない。
彼は私のよく知っている―
「―ミシャ」
「ユー…リス」
傭兵団最年少の魔法使い、その人だった。
ユーリスが信じられないものを見るような目で私を見る。ふらふらと覚束ない足どりで近付いてくるとそっと手が頬に触れた。
やっぱり背が伸びたみたい。見上げなきゃ、視線が合わない。
「本当に…ミシャ…?」
頬に触れたユーリスの手は小刻みに震えていた。本物だよ、と呟けばぐいっと体を抱き寄せられていつの間にか少し大きくなったその腕の中に閉じ込められた。
聞こえるか聞こえないかの小さな声で「…よかった…」と彼は呟いた。
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