SANS ADIEU-さよならは言わない-



やけに騒がしくて目が覚めた。
眠い目を擦るとクォークとセイレンが何か言い合っているようでエルザやジャッカル、珍しくマナミアまで落ち着きがない。
そうして漸くミシャの姿が見えないことに気が付いた。

「だから言ってんだろ!気付いたらもう居なかったんだよ!」

「火の番はお前だろ!一体何をしてたんだ!」

「ちょっとうとうとしちまったんだよ!気付いたら…もう…」

耳に届いた情報に寄るとどうやらミシャがいなくなったらしい。
オロオロしているエルザと目が合って、ミシャがいないんだ!と言われた。
それは何となくわかってる、でも、原因は?
そんな空気を察したのかマナミアが小さな紙切れを差し出してきた。
丸っこい文字で書かれた"ありがとう、ごめんなさい"
ミシャの筆跡だった。

「どういうこと?これ。自分で出て行ったの?」

「そうみたいなんだ…」

エルザが肩を落として答える。それと同時に昨日のミシャの様子が思い出された。
どこか元気がないって言うか覇気がないって言うか、何がって言われたら困るけどどこか変だった。
もっと気にしてあげたらよかったのかもしれない。

「俺、近くを捜してくる!」

「私も行きますわ!」

「ちょっと待てエルザ!俺も行く!」

走り出したエルザを追いかけてマナミアとジャッカルが後に続く。

『ありがとうユーリス』

昨日のミシャの声と寂しそうな笑顔が甦る。
書き置きを見詰めて、僕は唇を噛んだ。
あの時気付けてたら、君は―




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