君と同じ夢が見れる



その日は大荒れの天気だった。昼間から降り出した雨は、夜中には激しくなり、雷もなっていた。
あ、またひとつ雷鳴。

「ほりゃあ酷い天気じゃのぅ」

ワシは部屋で床についていたが、あまりの雨音に窓を開けて眺めておった。

かたん、

「誰じゃ?」

襖が音を立て振り返ると紘がいた。
目に涙をいっぱい溜めて、しゃがんでいた。

「紘?」

「龍馬さん…」

その時ワシの背中が明るくなる。稲光じゃ。
それをまともに見た紘は耳を塞いでうずくまった。
…ははあ、もしや。
雷、苦手なんじゃな。

「紘、おいでおいで」

ワシが腕を広げ手招きしたその時、ドーンと地面を揺るがすような雷の音。
次の瞬間には紘はワシの腕の中で小さく丸まって震えちょった。

「大丈夫じゃ大丈夫。ワシがおるきに」

こくりと頷く。ポンポンと背中を叩くと少しほっとしたように息を吐く。
ああ、もう、可愛いのう。

しばらくそうして抱きしめていると、雷鳴は遠退き雨足も弱まってきた。

「…龍馬、さん」

「ん?」

「私、龍馬さんのそばが、一番安心、出来ます…」

それだけ言うとそのまま瞼が閉じてしまう。

「紘?」

肩を揺らせば規則的な寝息。瞼から溢れていた涙を唇で掬って、そっと布団に横たえた。

「ん…龍馬、さん…」

「役得、じゃな」

隣に並んで寝転び、布団をかけてワシも目をつむった。
紘と眠れるとは、まっこといい夢が見られそうじゃ。










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