瞳は口ほどに物を言う



紘は俺みたいに口で好意をガンガン伝えてくるタイプではない。
だからこそ、紘の行動のひとつひとつに色んな気持ちを見出だすことが出来る。
それがわかる度に酷く愛しくて堪らなくなる。



たまに。ごくたまにだが、紘の瞳が訴えかけてくることがある。
それは無理するなだとか、心配そうだったりとかそんなことが多い。
余所で強がる俺のことを理解して、瞳だけで訴えてくる。
気丈に振る舞いながら、瞳は俺を心配している。
瞳の力はとんでもない、口で言われるよりも効果は抜群だ。

「晋、作さん」

夜二人で部屋にいると、たまに紘が何かをいいたげにする。
きゅっと俺の服の裾を掴んで、照れたような困ったような顔をして俯く。
そっと抱き寄せてやると素直に腕を背中に回す。
少し体を離して、顔を覗き見れば潤んだ瞳。
俺は知っている。その瞳が口づけ強請っていることを。
ずるいくらいに可愛い顔をして、待っている。自分から言えないところが相変わらず可愛い。

「紘、どうした?」

わざと聞いてやれば、むうと紘が拗ねた口をした。そんな顔は子供みたいなのに、強請る瞳は何故あんなに色っぽいのか。
そっと頬に手を当てる。何かを期待したような顔に、俺はまた悪戯したくなる。

「ちゃんと言わなきゃ、わからないぞ」

「嘘つき。絶対わかってるでしょ」

「言ってほしいんだ」

そう言えば、困ったように紘が眉尻を下げて息を吐く。観念したように口を開いた。

「キ、キス…して?晋作さん…」

キスってなんだ、なんて惚けてやろうかと思っていたけど、その可愛さに、破壊力の強さに、もう抗うことは出来なくて。
望み通りに口づけてやった。
一度唇を離して、呼吸を整える紘に宣戦布告。

「焦らした分だけ、してやる」

そう告げて、また唇を奪った。









瞳は口ほどに物を言う



-------------------
相互記念 ゆうさんへ高杉さんのお話。
特に内容についてのリクがなかったのでいちゃつかせておきました。単純に私の趣味です。
これからどうぞよろしくお願いします!

prev next

 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -