君に一直線!



お菓子もらいました、と紘が嬉しそうに大福を持ってきたんが数分前。
畳の出っ張りに足を突っかけてこけたんが数秒前。
慌てたワシは咄嗟に立ち上がり、紘の体を支えた。

「危ないっ」

むにゅっ

「…ん?」

手に感じた柔らかな感触に、下を見る。腕の中の紘は真っ赤な顔でわなわなと震えて、ワシをキッと見る。

「りょっりょっ龍馬さんのエッチー!!」

その声は寺田屋中に響き渡った。
バタバタと廊下をかけてくる足音に、紘がワシを思いっきり突き飛ばす。

「何事だ!」

武市を先頭に以蔵と中岡が顔を出す。
紘は胸を抱えて涙目で、ワシはワシで呆然としちょって、三人はきょとんとした顔でお互いの顔を見合わせた。

「…その、姉さんどうしたんスか?」

ただ事ではない様子に中岡がそろそろと聞く。紘は中岡に駆け寄り抱き着く。

「中岡!何するんじゃっ」

「おっ俺じゃないっスよ!」

「…エッチ」

紘が中岡の胸からぼそりと言う。というか、そもそも。

「…その、えっちと言うのは何なんだ」

ワシが疑問に思ってたことを以蔵が代弁した。むくれた紘がぼそぼそ答える。

「スケベってこと」

「なっ!龍馬お前紘さんに何をしたんだ!」

「なっ何もしちょらん!」

「嘘!胸触ったじゃないですかっ」

その言葉に思考が止まる。もしや、さっきの、柔らかい、感触が。
理解した途端に顔に熱が集まるのを感じる。
その場にうずくまりたくなる。

「えっ、まさか気付いてなかったんですか…それはそれでショック」

「いやっ紘の胸はなかなかふくよかじゃったぜよ!」

「なっ…!」

「そうだな、細い割にはなかなかあるかと」

「姉さんって着痩せする方っスよね」

「ああ、前に胸倉を掴んだ時にも結構あったな」

「胸倉?以蔵お前紘さんに何してるんだ」

「いやっ先生そのっ…」

そうこう言っていたら紘が中岡から離れて後ずさっていた。ぎゅっと胸元を押さえて、顔は赤くなったり青くなったり忙しない。

「もっみんなのエッチ!馬鹿!嫌い!」

一息に叫んでバタバタと紘が部屋から飛び出す。一瞬ぽかんと呆気に取られた。はっ!いかんいかん!

「紘!まつんじゃっ」

ああもう、







君に一直線
(嫌われるわけにはいかん!)


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4300hit蓮さんへ
龍馬さんギャグとのことで、ギャグはあまり書いたことがなかったのでかなりの難産でしたが、こんな感じでよろしいでしょうか…
返品も受け付けておりますので、いつでも言ってください。笑
キリリクありがとうございました!

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