授業中指されて戸惑っていたら助けてくれた



忍足謙也くんと隣の席になってからと言うもの、私はさっぱり授業に集中出来なくなってしまった。
有名なテニス部のレギュラーである彼は明るく、人に好かれやすい性格で、私にも気になる存在だった。あまりにも遠い存在過ぎて恋してるなんて言えない。
それなのに同じクラスになれただけでもラッキーだったのに何の幸運か初めての席替えで彼と隣の席になれてしまいやたらとドキドキして集中出来なくなったのだった。

「おい月城!何ぼーっとしてる!」

「へっ」

「50ページの問3答えてみろ!」

目敏い先生にそう言われて慌てて教科書を見るけど説明聞いてなかったせいか全くわからない。しかも数学は私の苦手科目で、もうちんぷんかんぷんだ。

「a=3、x=-4」

ボソッと横から聞こえた呟きにえ、と思考が止まった。今の声は。

「なんだ?わからんのか?」

「え、a=3、x=-4です!」

「なんだわかってるなら早く答えろ。…正解」

少しつまらなさそうにそう言った先生は授業を続けるために黒板に向き直る。そんな先生を横目で見ながらこっそりと横を見た。

「あの…ありがとう」

「おん」

小さな謝罪の言葉に忍足くんは太陽みたいな笑顔で頷いてくれた。あ、やばい。今恋になっちゃったかも。


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