ロマンチック・ラブリー



「紘先輩ってかわええですよね」

「うん知ってる」

…は?





ロマンチック・ラブリー





放課後の教室で教壇に座ってマニキュアを塗る先輩にそう言うとあっさりと同意された。え、なんなんだこの女と思ったが先輩がかわええのは本当に事実なので何も言えへん。やけに短いスカートから覗く脚の奥が見えそうでドキドキした。

「かわええなんていいなれてるもん、知ってるよー」

関西弁より標準語のが好きと言って生粋の大阪人の癖に先輩は標準語を喋る。無理矢理標準語にしてるせいかやっぱりイントネーションはたまに変だった。

「まあこう言うと憎まれるから普段は言わないけどね」

財前は特別、とへらっと笑う。
それに、と続けながら脚を組み替えた。あ、今一瞬パンツ見えた。

「財前もかわええ方が好きでしょ?」

てかてかに塗った唇の端を上げて笑う。ああこの人ほんま自分のことわかっとるんやな。てかてかな唇も標準語も服装も、脚を組み替えることも全部自分を魅力的に見せる為の飾り。
小悪魔っぽく笑ったその唇に俺はあっさりと陥落して、キスをした。

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