「ちょ、ちょっとユーリス」
「んー?」
「いやんーじゃなくて」
さっきからユーリスはずっと私の髪を指先でくるくるして弄んでいた。
それも後ろから抱きしめた状態で。周りに誰もいないからいいものの、結構恥ずかしいんだけどな、これ。
「雨すごいね」
「う、うん…」
でもユーリスは至って普通で窓に打ち付ける雨粒をぼうっと眺めている。無意識なのかなこの指。そっと止めようとしたら逃げられた。無意識じゃなかった。
「なんで止めるのさ」
「いやむしろなんでくるくるしてるの」
「ミシャに触りたいだけなんだけど」
「!」
むっとした顔で放たれた言葉は予想以上に恥ずかしくて私は顔に熱がのぼるのがわかった。
そんな私を見てかユーリスがクスッと笑う。やけに綺麗な弧を描く口元に嫌な予感しかしない。
「照れてるの?ミシャ可愛い」
嫌な予感的中!ユーリスの意地悪モードがスイッチオンしてしまったみたい。
がっくりとうなだれる私にユーリスがまたも笑った。
「まぁそういうところが僕は好きなんだけど」
爆弾発言は心臓に悪いってば!
午前二時、外は雨
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