マンマ・ミーア!


喰種世界4





コーヒーは好きだ。紅茶も好きだけど、これは昔お父さんがよく私の為に淹れてくれた思い出があるから、エジプトから出て以来、あまり飲まない。


血は好きではないが、よく飲む。生きるために必要だから。


その日は前日の晩に血を呑んだばかりで、ブランチに頼んだサンドイッチが咽を通らなかった。一口食べて、あ、これ今日は無理だ、ってコーヒーで最初の一口を無理やり流し込もうとしたら……、


「貴様!喰種だなッ!覚悟しろォォ!!!」


鬼みたいな形相の男性がクインケで切りかかってきました。






「………本当にすみません」
「あの、どうでもいいので頭をあげてください」


土下座されました。いや、もう、ほんとやめてください。目立ってます。貴方自分が目立つタイプの人間だって解ってますか?もしかして解ってやってる?え、なにそれ嫌がらせ。


誤解が解けたのはまさかの第三者の介入だった。実はこの店、私は常連で普段は家で作るのがめんどくさいので大抵の食事はこの店で済ませている。当然ながら店長も店員さんも私がバクバク食べるのを知ってる。偶にコーヒー以外の飲み物を頼むのも知ってる。

だからだろう、偶々この店に入ってきた喰種捜査官が私を襲ったので慌てて助けに飛び出てくれた。凄いよ店長!私なんて怖くて弁解も出来なかったよ!


でも誤解が解けた瞬間、頭を床に擦り付けんばかりに土下座した。彼是三時間もこのままであるが。


「ううっ、貴女みたいな寛大な女性を事もあろうに、あのクズと間違えるなんてッ!」

クズって、言い過ぎじゃない?

でもその人はよほど喰種が嫌いなんだろう、真に申し訳ない!とより一層頭を下げた。あ、今ゴンって聞こえた。

案の定、顔を上げたその人、亜門鋼太郎と名乗った喰種捜査官の額は赤かった。


でも長年の経験上、そしてちょっとしか見てないけど東京喰種のアニメでこの顔見たぞ。つまり主要人物かもしれないと第六感が訴えてる。


喰種にしろ、吸血鬼にしろ、やってることはあんまり変わらないのだからきっと正体ばれたらヤバい。

そしたら今度こそ助けてくれる人はいない。


だから今すぐ私のことを綺麗さっぱり忘れてくださいと願っても、忘れてくれそうにないなぁ…と、目の前で物凄い後悔してますって顔をしてる彼をみて思った。




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