マンマ・ミーア!


鬼灯世界1



今一売れているのかいないのか分からない作家こと、アリア・ブランド―です。
現在の拠点はEUですが、年に数回日本にもいきます。

そう、日本の地獄へと…。


つい先日、サイン会が開かれ、思いのほか沢山のファンが押し寄せ……る、こともなく、残念ながら30人弱という悲しい数字に半泣きになりかけながらも、数少ないファンからの「応援しています」「頑張ってください」に一時引退を考えましたがもう少し頑張ってみようかと思いました。

それでその時のファンの方のコネで地獄見学をすることになりました。


「ようこそお出で下さいました、アリアさん」

目の前に佇むのは、地獄のナンバーツー、究極のドS…ゴホンゴホン!ではなく、閻魔大王の第一補佐官 鬼灯様です。
ええ、例のコネです。私みたいな微妙な作家のファンだといって、初版片手にサイン会にて熱く語ってくださいました。

本来なら地獄見学はそう簡単に出来るものではないですし、それこそ動物園や水族館のノリで行ける所ではありません。

世界が違うとはいえ、もしかしたら亡きお父さんがいるかもしれない、と前々から行ってみたかったんですよね。あ、勿論お父さんはアレですから、天国にいるはずもありません。

鬼灯様はきっちりした方ですので、前にすると自然と背筋がピン!と伸びます。


「本日はお忙しい中、誠にありがとうございます」

「いえいえ。アリアさんのためならいくらでも時間を空けますよ。途中休憩も挟みますが、お疲れになりましたら、どうぞ遠慮なく仰って下さい」

「あ、ありがとうございます!」


うわぁ、あの鬼灯様に案内してもらえるとか、すごい贅沢です。それにしても初めて来ましたが、地獄って、


「意外と華やかですね」
「?そうですか」


まるでお誕生日会のような飾り、「ようこそ地獄へ」と書かれた看板、ああ、小鬼たちが歓迎の演奏までしている……

その後も鬼灯様による地獄観光ツアーにて、これまでの地獄の印象が一掃された私は知らなかった。


「(なー唐瓜)」

「(なんだよ茄子。ミスしたら今日は説教だけじゃすまねぇぞ)」

「(あ、うん。でもさ、鬼灯様スゲー楽しそうじゃね?)」

「(馬鹿!だってあのアリア・ブランド―を案内しているんだぜ?!鬼灯様大ファンだって、有名じゃん!サイン会だって先着30名限定だったのに手に入れるためにコネ使いまくったんだぜ?鬼灯さまそういうの嫌いなのにさ。今だって閻魔大王に働かせまくってるし)」

「(…よく知ってんなぁ〜)」




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