マンマ・ミーア!
マギ世界1
1
ボトリと落ちた場所は砂漠、時刻は太陽が燦々と輝く真昼間。
落した人間の悪意を感じ取れます。
お父さんなら一発でアウトだよ。でも半分吸血鬼の私も辛い。バタリと倒れ伏したが太陽が沈むまで保つとは思えない。ああ、天国にも行けず地獄にもいなかったお父さん、それと優しいジョルノ兄さん、アリアはここまでです。
「……ぃ!……ぉ、ぃ!」
あ、そうでもないみたいです。
*
ここは何処か?ここはマギの世界である。私がこの世界に気づいたのは他でもない。
「アリアアリアアリアアリアアリアアリアアリアアリアアリア」
現在引っ付き虫宜しく、腰に腕を回し私の腹部に顔を埋めて名前を連呼する真っ黒なアラビアン風な青年、名前を「ジュダル」。彼が「俺は偉大なる創世の魔法使いなんだぜ!」と自慢げに語ったからだ。そして彼が私の恩人でもある。
「なんですか、ジュダル」
「……」
あれ、どうしたんだろう。何故か黙りこくってます。
「ジュダル?」
もう一度名前を呼べば勢いよく腕の中に囲まれ、ついでに彼の胸元に顔面を押し付けられた。痛い。
「……アリアは、俺のもんだぞ」
「……」
うん、何ていうか……可愛い
一寸待て、コイツこれで20歳とか詐欺だろう。眦を赤く染めてちょっと拗ねた感じの物言い。上目遣いじゃなくて身長差云々から逆に上から見下ろす形にも関わらず何故かキュンときた。効果音にするなら「ズキュゥゥゥン!」って感じです。可愛過ぎるだろうおい。
「……っう、返事しろよぉ」
え、泣き出した?
ジュダル=煌帝国の神官、マギの1人、私の保護者(?)
彼はモテる男の三要素を兼ね揃えている。欠点といえば堕転してるとかかなり好戦的だとか意地悪だとか危ない組織に加わっているとか…あれ、結構あるよね?でもイケメンだ。お金もある。私みたいな得体のしれない人間(人外?)が宮殿に住めるのは彼の御蔭であり、私がこのまま自堕落的な生活をエンジョイできるのも、彼あってこそ。
要するに、
「ジュダル、泣き止んで」
嗚咽を洩らす子どもを死ぬ気で慰める、保護者(仮面付けた黒い組織の連中)が来る前に!
こんな私を卑怯と謂うなかれ。
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[mokuji]