マンマ・ミーア!







空条承太郎視点


「おかえりなさ〜い、承太ろ…う?……」


帰宅した承太郎を迎えた母・ホリィは驚愕した。息子が最近反抗期に突入したのは知っていたが、それでも彼女は息子を愛していたし、息子が優しいことも解っている。

だけど今までこんな帰宅をしたことはなかった。


「ど、どうしたの!?承太郎、貴方顔が真っ赤よ?熱でもあるの?」

今朝はなんともなかったのに風邪でも引いたのかしら?と戸惑うホリィに「どけ」の一言で自室に駆けこんだ承太郎は先ほどから感じる胸の高鳴りに呼吸すらままならない。


同時刻、同じように息を切らして帰宅したアリアと違う意味で焦っていた。


「はぁ…はぁ……お、俺は……汐華先輩と目が合ったのか」


胸を押さえる右手は小刻みに震えている。額を流れる汗や整わない呼吸にも関わらず承太郎の表情は歓喜に染まっていた。


『汐華アリア』

承太郎は二つ年上の彼女に恋をしていた。桜舞う、晴れやかな空の下、体育館で行われる入学式の新入生として大勢の中に埋もれる承太郎と、颯爽と檀上に進む生徒会長のアリア。

皆が見惚れる中、美形には耐性があった承太郎はロードローラが衝突したような心情……要するに一度死んで生まれ変わったような心持だった。恋はハリケーンではなく生きるか死ぬか。たった一人を愛する星を持つ彼は決して恋をしてはいけない少女に恋をしたのだった。




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