マンマ・ミーア!






「うりぃぃぃぃぃぃぃ〜ッ!!」
「URYYYYYYYYYYYYY!?」


DIOの目覚めは、愛するアリアの鈴を鳴らしたような聲を更に大音量にしたものから始まる。

 
「WRYYYYYY〜!」
「ごめんなさい」
「ムゥゥ…」

柳眉を顰め謝罪の言葉を口にするアリア。その顔を前にするとなにも謂えなくなる。これがアリア以外なら首に指を突き刺し全身の血を一滴残らず吸い上げてやるのに!

だがやっと手に入ったアリアだ。どんな表情も忘れぬよう目に焼き付けるべく瞬き一つせず凝視した。

今度こそ知らぬうちに失わないように・・・。


最愛の母を失って百年以上の歳月は永かった。永遠に等しい苦しみの中、石仮面を手にし、吸血鬼となってからは僅かな希望を見出したまではよかった。母であり女であるアリアを復活させる、それが当時の目的だった。しかし、あの憎たらしいジョナサン・ジョースターにそれを阻まれ、最終的に100年も海底に沈むことになった。

代わりに奴の身体を奪ったが、どれだけの年月を経ても奴は、ジョースターは私の邪魔をする!

だが!偶然…いや!必然的かつこれは私とアリアの間に存在する引力だったのだろう!私は見つけたのだ!我が母を、記憶と寸分違わず全く同じ姿形をしたアリアを!
勿論すぐさま屋敷に連れ帰った。だが遠慮してか、使用人の真似ごとをしたがる。

お前はそんなことしなくていい!

水仕事をして手がボロボロになることも!朝夕休む暇なく働くことも!少ない食事を私に譲ることも!

しなくていいのだ。そう、もうしないでくれ……

今なら昔叶わなかったこと全てしてやれる。私の説得に不服そうだったため納得するまで部屋に閉じ込めておくことにした。勿論私の部屋だ。アリアがいるなら私も部屋から出る必要はない。二人で数日間部屋に引きこもった。


夜明けと共にベッドに身を沈め、日没と共に目覚める。嗚呼、こんなに幸福な時間が未だかつてあっただろうか?これからも永遠と続くこの日常を堪らなく愛おしいと思う。


先ほどまで、夢を見ていた。夢では私はまだ人間で、幼く、アリアもボロボロの姿だった。それでも幸福な時間だと謂えたのはその夢の中で歌ってくれたアリアがいたから。飽きもせず何度もせがむ私の髪を撫でながら、何度も歌ってくれたからだ。

だが現実の私はそのアリアに触れることができる。愛していると告白し、その口唇を塞ぎ、舌を絡ませ、互いの唾液を交換することもできる。アリアの白く温かい肌に指を滑らせ両腕の中に閉じ込めることができるのだァ!


もう一度眠ろうと促すと仕方なさそうに微笑む。歌をせがむとカナリヤよりも美しい旋律を奏でる。そのまま白く傷一つない指先でアリアと同色の髪を梳かれる。その気持ちよさに瞼が重く、完全に寝入ってしまう前に…

「 愛してる 」


聞こえただろうか?いや、どこまでも穏やかに微笑むアリアからの返事は不要だァ!




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