マンマ・ミーア!







 朝起きたら、物凄い美形のドアップに驚いて思わず悲鳴を上げたアリアです。

「WRYYYYYY〜ッ」
「ご、ごめんなさい」
「ムゥゥ…」

訂正、朝ではなく夕方でした。


我が息子こと、ディオに連行され「我が家だァ!」とドヤ顔で案内された豪邸で絶賛引きこもり生活を送っている。 いや、ちゃんと働こうとしたよ? したけどディオが許さなかった。
こっそり仕事探しに外に出ようとしたら番犬ならぬ番鳥に威嚇されたから断念。次にせめて家事くらい!って意気込めば「そんなことしないでください!」と息子の部下の子たちに泣かれるわ「母さんはそんなことしなくていい!」とディオが怒るなど散々な目に合った。

それ以来、私は勝手になにかしないようにディオの部屋に軟禁されている。
すると必然的に家主と行動することが多いため活動開始時刻も重なってくる。要するに私も立派な夜行性である。だがこの歳(約120歳)にもなって母親と一緒に寝るとか恥ずかしくないのだろうか?


しかも、

「フン!もういい!」
 
いいって何がだよ。

「寝るぞ!」

二度寝を始める190センチの巨人。起き上がろうとしたが、私の腹を圧迫せんと凄い強さで抱き付く両腕や足に絡まる丸太の様な両足により拘束された。う、動けん!


「なぁアリアよ……また歌ってくれないか?」
「(呼び捨て…)歌?ええ、いいわよ」

その上子守歌をご所望である。まぁそれしか仕事がないので引き受けるが。

上手いか下手かで謂えば普通だと思う歌声を披露するのは正直恥ずかしい。ただでさえこの部屋は反響しやすいのに…!誤魔化す様にディオの髪を梳くように撫でる。ディオがまだ幼い頃に死に別れた以外にも色々あったから、すっかり記憶の中の姿と異なり成長と進化を遂げた息子の唯一変わらないところはこの黄金色の髪くらいだ。

早く寝ろ〜と内心祈りながら続ける。するとディオの目がとろんとしてきた。咽を鳴らす猫のような仕草に、あと一歩だと幼子にするように寝かしつける。

「     」

はて? そのとき眠りに落ちた息子がなにを云ったのか聞き取ることが出来なかった。





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