マンマ・ミーア!






承太郎はアヴドゥルからDIOとの出会いについて話を聞いていた。そして助けなければいけない、もう一人の女性の存在を知る。

「うむ。儂らと関係があると思って攫われたのじゃろう。恐らく肉の眼を植え付けられているに違いない。彼女にスタンドがないことはアヴドゥルが知っているがもしかしたら刺客として送られてくるかもしれん。その時は承太郎、お前の力が必要だ。」

「頼む承太郎。私は彼女に謝っても許されないことをしてしまった。彼女が店にいることも考えず一人逃亡など……だからこそあの男を倒す旅に私も同行するのだ!」


後悔と決意の念が籠った彼の瞳に承太郎は頷いた。



 一方その頃、カイロの館では・・・


「おはようございますアリアさま。」

「……おはよう。テレンス」

「すぐお食事をお持ちします」

「ええ」


真っ暗な屋敷に今時珍しい蝋燭を灯に広間までやってきたアリアはこの館の執事を名乗る男と挨拶を交わした。
アリアの椅子を引き、恭しくお辞儀をしたテレンスだが、その様子から主従関係が明白にも関わらずアリアはテレンスの主ではない。本来テレンスが忠誠を誓った相手はまだ寝室で深い眠りについている。当然だ。この館の主は陽の下に出ることのできない吸血鬼なのだから・・・。そんな人外の化け物とアリアの関係を聞かれたら二人を見比べれば自ずと答えは出てくる…はず。


(お腹すいたなぁ・・・今日のごはんなんだろう)

優雅に椅子に腰かけ、ふと飾られた美しい薔薇に視線をやり目元を緩ませた動作からは考えられないことを思考するアリアを影から見つめる不審者がいた。
陶酔に浸った熱視線を向ける男の格好はごく一般的な感性をもつ人間なら嫌悪してしまうもので、宣言した通り食事を運んできたテレンスはその不審者もとい同僚のヴァニラ・アイスを養豚場の豚を見る目で見た後、ワゴンが通れないため、仕方がなく話しかけることにした。そう、仕方がなくだ。

「ああ、流石アリアさま///DIO様同様座っているだけで美しい・・・」

「ヴァニラ邪魔です。どいてください」

「DIO様と並ばれたあの瞬間を私は何故カメラに納めなかったのか今でも悔やむ」

「はいはい。」

「いっそ禁忌の楽園の庭を人間の身で愚かにも垣間見てしまったような高揚感!!」

「実際あのお二人は人間止めてますし、禁忌でしょうね」

「だがそこもいい」

「まあ性格は正反対ですが」

「お二人で対となられるのだ」

「顔もそっくりですしね」

「当たり前だ。お二人は“親子”なんだから」



拝啓、アヴドゥルさん。私はDIOの母親ということで屋敷で物凄く優遇されています。置いて行ったことで心配なさらず。





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