マンマ・ミーア!






神視点


『アリア・ブランド―か…』


突如現世に生まれついた存在。本来転生する人間の魂は私も全て把握しているはずなのに何故か彼女だけ知らない。未知の存在に恐怖を抱いた。

そのアリアが死んで当然の様に天国に住みだしたが、絶対的な『善』の人間だった彼女の本来持つべく『悪』を増幅させて生まれ持ったその息子は世界を乱す存在へと成長している。


天国にいるといっても本当の善人と呼べるのは彼女を除いて一人もいない。そんな彼らへの罰は身内の罪をその目に映すことだが絶望したように嘆く彼女の姿を見るとこの罰は止めた方がいいと思えてしまう。それほどまで彼女はあのどうしようもない男を息子として愛したのだろう・・・サンタマリアと全くの逆の子どもを生み落したアリアの涙は何時しか枯れ尽きてしまったが、それでも湖に男が映るのは彼女が見捨てていない証拠だ。

目に見えない血の涙を内で流しているのだ。傍目で解るそれよりも痛々しい姿に神による会議の結果

『アリアが転生するのは100年後の日本だ・・・』

この天国からアリアが消える。
それだけで桃源郷と呼ばれもするほど色鮮やかな花々に囲まれ美しいもので溢れたはずの天国が地獄よりも地獄らしい場所に感じてしまう。この神ですら魅了したのか・・・地獄の王なんぞは既にアリアの下僕だ。アヤツは欲に忠実だからな・・・神だからこそ態度でそれを現せられない自分が悔しい。


指さした赤い門をなんのためらいもなく、真っ直ぐな瞳で見つめ足を進め近づく。

ああ行かないでくれと声を大にしていいたい!!


ディオ・ブランドーを殺せと命じたが屹度彼女は殺さないだろう。彼女は優しすぎる。だがいいではないか・・・神の命に逆らうことすら許されるほどアリアは美しいのだから!!


全員一致でもしアリアがDIOを殺さなくても、ディオを生かしたとしても現世に甦ったならその時点で彼女は私のものでも悪魔のものでもない、彼女だけの世界だ。自由に生きてもらっても誰も咎められないさ。


アリアに愛され過ぎた男を殺したいくらい憎くても神は殺生を許されない




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