マンマ・ミーア!







DIO視点



おかあさん、おかあさん。だぁいすき
もっとギュッてして!もっとキスして!おかあさんとずううっと一緒にいたいよ!

ぼくのおかあさんはとっても綺麗なんだ!近所の人もおかあさんのことを「サンタマリア」って呼んでいる。
おかあさんがくれた本に「聖母」ってかいてあった。おかあさんにピッタリだよね。神様を生んだ人って意味なんだけどじゃあ僕は神様なの?
おかあさんはよく「私の天使」っていうけどなぁ。どっちでもいいか、だって僕はおかあさんの息子だもん!


お日様の光でキラキラと燿るお揃いの金髪に夜のお星さまみたいな目に僕だけを映して!僕だけを見て!僕だけを愛して!

おかあさん、おかあさん

だけど父さんは嫌い。大っ嫌い。
いっつも働かないでお酒ばかり飲んでる。おかあさんは毎日クタクタで帰って来るのに・・・



母さんを殴る、蹴る、罵る。

そんな屑が今日も笑っている。
苛々する、いつか、いつか僕が大きくなったら母さんを連れてこんな家を出て行ってやる。
幸いにも母さんは僕に知識をくれた、愛をくれた、僕にとって世界は母さんだ。

母さんは貴族の甘ちゃんみたいに学校に行っていないのに博識だ。色んな事を知っている。
それだけじゃない!母さんは信じられないおとぎ話のような未来を語る。でもそれは非現実なようで有り得ることだと成功を知っている目をしてる。
母さんの目には未来が映っているんだろう。ならこのディオが叶えよう。僕が、いや、俺だけが母さんの目に映るのに相応しいのだ。俺が母さんの未来になるんだ!!



俺は犬が嫌いだ。あの調子のいい時だけ人間にへーこらする姿が気に入らない。何よりも母さんを傷つけた、それだけで万死に値する。
母さんが教えてくれた法にいつか犬を排除するように作り替えたいな。そういえばニッポンとかいう極東の島国では昔王が自分の生まれ年の生き物だった犬を始め生き物を大切にするように法を定め民衆に害を及ばせたんだったっけな。

ふん!くだらない。何故犬畜生なんぞに・・・見るだけで吐き気がする。
近寄ってきた野良犬を蹴り上げるのも手慣れたものだ、いや、蹴り慣れたものだ。


母さんが俺に教えてくれたボクシングの防御テクニックは凄い。他にもアイキドウとかいう相手の力を利用して繰り出す技を教えてくれたから貧民街じゃ俺は敵なしだ。周りに取り巻きができた。所詮ただの愚図に過ぎないがいないよりはましか。

母さんの前じゃ甘えた餓鬼を演じている。だが徐々に素をだし、いつかこのディオのものにするために母さんに気づかれないよう蜘蛛の糸を巻き付けていく。

ああ、母さん、母さん。俺の美しく、でもこんな醜い俺の天使だと謳う愚かな母さんよ。



「どうかこの子に幸せが訪れますように」


そういって離れていこうとする手を目を瞑ったまま力を籠めて引き止める。起きていると、ここにいてと。
頭上で苦笑したのが分かった。ちょっと罰が悪いが仕方がない、ベッドに腰掛けまた紡がれる旋律はどんな音楽よりも美しい響きを持つ歌を詠うのだ。




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