マンマ・ミーア!







数年後、我が息子はすくすく成長した。
そう、究極の美少年に、だ。

此処大事、だって本当に天使だもん!
転生した当初ここはハリポタの世界だったらいいなぁと思っていたけどその期待は裏切られ、普通に過去の時代に生まれたんだなぁと毎日必死に生きていたけどまさかの共通点。そして決定打となるのは息子のディオだ。しかし腕に抱いた我が子の口から「URYYYY」とか出てくるのを恐れていたが待てど待てどその兆しはない。

その代わりに「へにゃあ」って効果音が聞こえるんじゃないかってくらい蕩けた笑顔を向けられた瞬間

――ズゥッキュンンンン!!

私の心臓が射貫かれた。そして天使にメロメロになった。
あんまりにも可愛いから貧民街じゃ襲われるんじゃないかって心配してボクシングとか合気道の技を教えたり、学校に行かせたいけど本人が「おかあさんといっしょにいる!」ってそりゃあもう可愛らしくスカートの裾を握って上目遣いで「だから行かない」って懇願したのだ。これに落ちない人間はいるのだろうか、いや、いまい。


「ディ〜オ!うふふ、私の天使さん」

「ふわぁ!おかあさん!」

「んっん〜・・・なぁに?」

「ぼくが天使ならおかあさんは女神さまだよね!」

「っ!!?嗚呼、可愛い可愛い!!」


可愛いこと言うディオを更に強く抱きしめ、モチモチほっぺに自分のそれを擦り付ける。キャーって擽ったそうに、でも嬉しそうに笑うものだから調子に乗って顔にキスの雨を降らせた。スキンシップが重い?いやいやこのくらい普通よ。

あ〜癒しだわ。日々の仕事の疲れがディオの顔見るだけで吹っ飛ぶわ。やっぱりこの子は天使だろう。


「おい!!アリア!酒がねぇぞ!」


・・・っち、コイツさえいなければ楽園だったのに。

酒さえ与えれば大人しいダリオも何だかんだでディオのことは好きみたい。ふふん!お前には懐いてないもんね。嫉妬か?

名残惜しいがダリオがキレると暴力に訴えてくるし、ディオの手前反撃する姿なんて教育上よくない。だって私ここいらじゃあ「赤い血潮のサンタマリア」って言われていたのよ?どこの漫画の主人公ママの異名よ。外見詐欺の皮肉も込めて聖母らしい。解せぬ。
ディオにそんな姿見られたくないから大人しくしてるけどちゃんと報復はディオが寝静まったころにしているから大丈夫よ。


ん?あらあら

「そんな泣きそうな顔しないでちょうだい、ディオ」

「・・・おかあさん」

「My dear・・・」

チュッと額に一つ口づけてお酒を買いに出かけた私はまさか腕の中で花が咲くように笑っていた息子が実母を熱の籠った視線で見ていたとか、あとで倍返しにしてやるこのゴミ虫がぁと思いながら堪える私を調子に乗って殴り倒すダリオを射殺さんとばかりに睨みつけていたとか、私が舌打ちしたのと同じタイミングで同じことをしていたとか、諸々のディオに全く気付かなかったのである。




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