マンマ・ミーア!
3
話は進んでいく。
三部開始時=フリーダムだと自己暗示をかけていたのも虚しくアリアは相変わらずDIOの寵愛を受けていた。彼女は理解していないがDIOの愛情は彼の部下がアリアに近づいたら殺されると認識するくらい重いもので、唯一許されるのは世話係りのテレンスやDIOに絶対の忠誠を誓っているヴァニラたちくらい。
自分以外にも女性がいると思い込んでいるのは全て彼女の知る原作のみだ。すっかり原作と異なっているのである。
そんな彼女は今日もとある青年を見つめている。
私は汐華アリア、現在四人の息子をもった未婚の母である。
前世の記憶がある私はそこの漫画、ジョジョが好きだった。
そして中でも花京院が好きだ。
私はエジプトのDIOの館に監禁中なう。つまり何が言いたいかというと
目の前に花京院典明君がいるだと?!!
かかかかカッコイイ!!サインください!花京院立ちお願いします!
アリアはそうやって花京院を見つめていた。彼女は今より4年前、アメリカで家族旅行中にこの屋敷の主、DIOに惚れられ誘拐される形でこの屋敷に住むことになった当時15歳、現20歳の女性である。第一子初流乃も4歳になり、年子で三人出産した。因みにDIOはまだ産ませるつもりである。
まぁそんなわけで実質この屋敷には彼女以外DIOが相手をする女は連れ込まれていないし、いたとしてもすぐ血を吸われてミイラになるのみ。彼は部下にすら手を出さない。傍から見るとDIOの妻と認識してしまうのも仕方がなかった。
ところでこの花京院、初対面でDIOに対し恐怖のあまり嘔吐したような繊細な子だった。
DIOの激愛する女性から熱視線を向けられ、同時にどこからか嫉妬に狂った吸血鬼の視線を向けられてもうどうしようもない。ポケットにエチケット袋を所持するくらい毎日吐いてしまう。
彼も年頃の男の子だ。アリアのような美人に見つめられて悪い気はしないがそれで死にたいとは思わない。声を大にして「見ないでください」と云えたらどれだけいいか・・・。相手は上司の妻、逆らえるはずがなかった。
しかしそんな花京院にも一筋の光が差し込む。任務だ。日本に帰り、最近こそこそとDIOを探るジョースターの人間を殺してくるよう言いつかった。アリアに嫌われたくないから本人に云えない苛立ちを花京院にぶつけていたDIOも、八つ当たりされていた花京院も小躍りしたいレベルで嬉しかった。
その知らせを聞いたアリアが「また逢いましょう?」と言ってきてもこれで最後だとアリアを後ろから抱きしめる形で睨んでくる上司も、アリアの両足にへばり付いて父親と同じように睨んでくる息子たちも、本当にこれで最後だと言い聞かせて耐えたのであった。
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[mokuji]