マンマ・ミーア!


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人生お先真っ暗である。


「フムフム・・・じゃあお前はもう心配ないな!」


現在進路相談中、といっても既に推薦が決まっているので問題ない。そう、不祥事さえ起こさなければこのまま予定通り進学できるから担任も嬉しそうだ。

だけど先生、私は不安しかありません。


「お前は入学して以来ずっと文武両道才色兼備!まさに我が校の誉だな!」

そう高らかに笑う先生・・・
ごめんなさい。私中学は二回目なので皆より有利なだけです。

そう、私ことアリアは所謂前世の記憶というものがある。といってもこれはトップシークレットなので誰にも話したことはない。1991年生まれだった平成っ子な私が1968年に生まれた。携帯もない、パソコンも旧型、雑誌も古すぎる。何をしろと?

だが私は折角記憶があるんだから活かして前世は諦めた弁護士を目指すことにした。小学生の時である。

そして偶々寄り道した帰りのことだ。小学生だったから三時くらいか。かなりがっしりした体躯の御爺さんに道を聞かれた。
190以上の高身長を態々私に合わせてしゃがんでくれた時はストーカーの類かと思った。何故か?だって私は見た目小学生、そして自分で云うのもなんだが転生してアイドル顔負けの美少女だったからだ。対して老人、明らかに日本人じゃない。

ただの老人なら兎も角、外国人で子どもに道を尋ねるはずがない。尋ねるとしたらその後「お礼がしたいからこっちにおいで」と謂うんだろうそうだろう?事実、老人はその科白を言った。云ったが私は彼のその前の科白で固まってしまった。


「儂はジョセフ・ジョースター。日本には娘が住んでいてのォ。孫が今年小学校に入学するんじゃ」


じょせふ・じょーすたー・・・じょじょ・・・・ジョジョ?

その後のことは覚えていない。気が付けば汗まみれで家の玄関に立っていた。


私は知っている、ジョジョの奇妙な冒険を!!
かっ!と見開いた目で近くにあった算数のノートに只管思い出せることを書いた。
それは決して「わーい!あのジョジョたちに逢える!」とか「孫ってことは承太郎だよね?高校生くらいの時に三部になるのかな?」とか思ってのことではない。

次の日・・・は警戒して三日後、彼が向かった先を探索してみると我が実家に負けず劣らずの屋敷がそこにあった。(あ、今生は結構なお金持ちです)

表札には『空条』・・・ははっ、涙しか出てこない。誰か否定してくれ。


何故ここまで私が絶望しているのかという根本的な理由を教えよう。


「よし!じゃあ態々時間取らせて悪かったな、汐華」
「いえ、こちらこそありがとうございました」


私の名前は汐華アリアである。
親戚に若い女性は居らず、上も下も男ばかり。だから実家では結構可愛がられたがこれは大問題だ。まさか私が五部の主人公の母親になるはずがない、いや、あってたまるか。




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