マンマ・ミーア!







あれから二十数年、うちのエリザベスは町を歩くだけで男をひれ伏せるくらいのとんでもない美女に成長し、ジョージと結婚。私とエリナさんは孫のジョセフを通しておばあちゃん仲間となった。過去形なのはそのジョセフが一歳の頃、原作通りジョージが死んで止める間もなくエリザベスが敵討ちに出離、スピードワゴンさんの御蔭で無事国外へ逃亡した。

私がべスの母親として周囲に知られていたから私も一緒にイギリスを離れ、何年か前に男に貢がれた無人島に移り住むことにしたのである。エリザベス改めリサリサを慰めつつ、道端で倒れていた孤児のスージーQとか双子の兄弟とか拾い、波紋の修行もしつつほのぼのと暮らしていた。


そんなある日、


「アリアさま!スピードワゴンさまからお手紙です」


そろそろ孫のジョセフも20代か〜あれ?これって原作開始間近?そろそろ死なないといけないのか・・・

手紙には案の定、石仮面に関して見せたいものがあるから来てほしいと書いてある。溜息しかでない。

「どうしたんですかアリア?」


嗚呼、今はリサリサとお茶会でキャッキャウフフしてたんだった。とても50代とは思えない。まあ対面する私も何故か外見20代なんだけど。原作ストレイツォとは違った理由を考えないといけないではないか!

取りあえず無言で手紙を見せれば眉間に皺が寄った。そんな顔も美人がしたらうっとりしてしまう。
娘に見惚れていると何かが切れる音が聞こえた。


「アリア!!絶対に一人にならないで下さいよ!」


リサリサが何か言ってるけど半分以上聞き逃してしまったorz
取りあえず頷いておいた。


そして数名の弟子の「付き添います!」に丁重に断りを入れ、スピードワゴンと合流した。
ああ、私の人生も此処までか・・・夥しい数の石仮面の中心で眠るサンタナを見れただけで良しとしよう。


今までの人生に感傷に浸っていると後ろから悲鳴が・・・え?まだ何もしてないけど・・・?


背後にいたのはスピードワゴンただ一人。ここで起こすことを思い弟子は置いてきたから私を除けば彼と、彼の部下数名が入るはず。
その部下は全員床に伏していた。まさかサンタナがもう目覚めて・・・?!

いや、起きていない。そこにいる。

どういうことだ?


ゆらりと背後の空気が揺れ、気付けば私は脳に刺激を受けていた。そう、視界が悪い。仮面のせいだ。
刺激された脳から全身の血液が変わる。アドレナリンが分泌され、遺伝子レベルで全てが書き換えられていく。


掻き毟ったのは咽だ。むず痒い、乾いて乾いて仕方がない。
本能のまま目の前の血の塊に食らいついた。


「ああアリア!!貴方の糧となることに神に感謝しよう!」


聞き覚えのある声に吃驚し口を離す。辛うじて生きているその男は


「………スピードワゴンさん?」


・・・自主的改め他者の手で吸血鬼になってしまいました。




- 55 -
prev | next
[mokuji]

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -