マンマ・ミーア!








ジョセフ・ジョースターを始め、ジョースターに連なるものは現在困惑している。
愛娘のホリーがスタンドを具現化出来るだけの精神がないため倒れた。命にかかわるということで、その根源たるDIOを倒すべく彼らは立ち上がった。

が、そこでSPW財団から緊急の連絡が入る。

曰く、「DIOを拾った」


一同が静まり返るなか、承太郎は深く帽子を被り、皆の気持ちを代弁するかのように口を開く。


「今決めた覚悟が無駄になったじゃねぇか……」


全くその通りである。



日本からエジプト、凡そ半日で航空機は捕獲したばかりの吸血鬼を届けてくれた。
緊張の面持ちで見下ろすと二メートル以上の大きな棺桶が一つ。昼間だからと入れられた棺桶の中に、そのDIOがいるらしい。

棺桶とはいえ、中身は未知なる生き物。承太郎、ジョセフ、花京院、そしてアヴドゥル、彼らの額から冷汗が頬を流れ落ちる。特にアヴドゥルと花京院はDIO本人に会っているため、恐怖すら感じていた。


ごくり、誰かが息を呑んだ。


しかし、


シクシクシクシク……

「「「「………」」」」


「な、泣き声?」
「はい、棺桶に入ってからずっと泣いてるんです」

神妙な表情で事実を告げるSPW財団。ジョースター一行は思った。


こんなのが我が家(ジョースター家)の因縁の相手なのか?!!と。人外とは総じてよく解らん生き物だと、過去に柱の男たちと戦ったことがあるジョセフは眉を顰める。取りあえずこの後どうしよう、そんな雰囲気が漂う中、知ったこっちゃねぇ!と云わんばかりに行動する男が一人。


オラァッ!!!

まず鋭い一撃が棺桶をへこませた。

オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオア・・・オラァァアアッッ!!!

次いで連続で繰り出されるオラオララッシュに棺桶は見る見る穴ぼこだらけになる。最後に止めだと、今までで一番重い一撃が落された。


「ふぅ……ヤレヤレだぜ」

「じょ、承太郎…お前」

「まさか…」

「どんな奴か、そもそも本人かどうかの確認すらせず真っ先に始末しようとする、そこに痺れる憧れるッ!!」


約一名、承太郎信者となりかけたが、承太郎はまるで一仕事終えた大工のように薄らと掻いた汗を学ランの袖で拭う。その顔は酷くさっぱりとしていた。



だがしかし、それで終わるDIOではなかった。


「ンッン〜〜……成程、流石はジョジョの血族。このDIOに対してその一切の躊躇もない爆発的攻撃の嵐、もし私が不死身の人間を超越した存在でこのスタンド能力を身に着けていなければ危なかったぞォ〜…」


「「「なッ?!!DIO!貴様まだ生きて……」」」

「………」


「フン!マヌケめ!このDIOがそう簡単に殺れるかァァ!!!」


太陽避けに身に纏った真っ黒の外套を頭からすっぽり隠した格好のDIOが承太郎を小馬鹿にしたように哂いながら指差していた。




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