マンマ・ミーア!







これは本来あるべき物語を歪めた兄妹を屈服させるべく、老体を引きずって頑張る父親の吸血鬼の物語である!


ジョースター家の宿敵、その名をDIO!

日本のとある店で先祖の身に起こった悲劇が子孫へと明かされていた頃、エジプト・カイロの豪邸…通称DIOの館には穏やかとは言えない雰囲気が漂っていた。


「お、落ち着いてください!ルイスさま!!」

「ヒィィィハァァァアアアア!!!離しなさいテレンス!!今日という今日こそこのドブみたいな匂いがプンプン以下略なパパを抹殺します!!」

「頑張れ兄さん!」

「アリアさまも煽らないでください!!」

「WRYYYYY〜・・・」


DIOの部下に取り押さえられたルイスは興奮が醒めない様子でぶるぶると拳を震わせた。その手にはショッキングピンクの際どい衣装が握られているが、ポタポタと大理石の床を汚すカレーが折角の色を台無しにしていた。


「だってテレンス!パパが喰えない癖にカレーなんて食べて『URYYYYYY!!?』と叫びながら器をひっくり返してヴァターシの服を、こんな!!絶対に許せません!」


キッと愛息子に睨まれ悪の化身と云われるDIOも動揺した。便乗して日頃の鬱憤を晴らすべく父親を罵る愛娘にも(ジョナサンから奪った)心臓が串刺しにされるような悲しみに打ちひしがる。


眦に浮かぶ涙が零れ落ち、我が子たちはそんな父を養豚場の豚でも見るかの眼差しでみる。


とうとう耐え切れず、DIOは叫んだ。


「こんな家出てってやる―――ッ!!」




しかし、それを聞いた子ども達は嬉々として追い出した。せめてもの情けで遮光カーテンで作った外套を被せ、エジプトの底冷えする月夜の砂漠に放置する。


ひゅう〜、と風が吹いた。


部下はとっくに息子の能力で洗脳され、助けを期待できない。

DIOが心寒いと感じたのは、屹度外の寒さのせいではない。







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