マンマ・ミーア!
妹の場合
「WRYYYYYYYY!!お前は、この、DIOの娘だああああああ!!」
誰だろう、この黄色いの?あ、DIOって言ったよね。DIOってあのDIO?
周りの騒音にはてと首を傾げようとして傾げられないことに気が付いた。
要するに首が据わっていない。また僕は赤ん坊になったのかと死んだ覚えのない前世を思い出す。
やりたくないけど何故か美味しそうだとかいって若い少年の後をつけまわしたり、おでこがチャーミングなイケメンに変態とか謂われたり、意識が飛んでいたと思えば周りが血の海だったり……うん、どちらにしろ碌な人生じゃなかった。
元女子高生が行き成り(イケメンだけど)ピエロメイクな変態男に生まれ変わったかと思えばよく知っている漫画の登場人物の子どもに生まれていた。
彼って確か認知していない息子はいっぱいいたけど娘はいなかったよね?
現在近所迷惑にも大絶叫中な自称父親のプロフィールを思い出しながら冷静に現状を把握していく。すると突然その思考を邪魔するように手が握られた。
誰?と視線を向ければ父親に似た美少年(しかも前の僕なら涎を垂らしながら青い果実認定しそうなレベルの)がいた。
ニコリと無邪気に笑んだその少年に優しく抱っこされる。だけどすぐ傍で僕を生んだばかりの母親が興奮した父親の朝ごはん?昼ご飯?になった。
「ルイスさまの妹君のアリアさまですよ」
あのテレンスだ。本物のテレンスが目の前にいる。
でもルイスってこの美少年の名前だよね。そんな子原作にはいなかった・・・ってことはひょっとして僕がいる時点で解ってたけど原作じゃないみたいだね。
だって五部の主人公は最初黒髪だったし、このルイス君ってまさに小さいDIOみたいにそっくりだし、他の兄弟はなんかあれだったし。
そんなことを考えていたら眠くなってうとうとしていたらルイス君がベッドに戻してくれた。有難うの意味を籠めて笑いかければ向こうもちょっと驚いたのか目を見開いてたけどすぐに笑い返してくれた。
優しそうなお兄ちゃんでよかったなぁと思いながらも薄れていく意識の中、そういえばなんであんなドッピンクで派手な格好していたんだろう?って疑問に思った。
(数年後、何でお前はこんなにも変態ピエロっぽいんだろうと兄に謂われた)
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[mokuji]