マンマ・ミーア!








「ねぇ、どうかしら?」

「あら!素敵ね!羨ましいわ〜、見てよ。私の何て…はぁ」

「慣れないだけよ。私は趣味が人形作りだからこれくらい当然よ。ここはこうしてみなさい」

「……ありがとう」

「ウフフ、どういたしまして」


アハハ、ウフフとピンクのオーラを放つ二人の背後からニョッと現れた第一印象が真っ黄色な男はすぅぅと息を吸い込み、


「お前たちいい加減正気に戻れええええええええ!!!!」


叫んだ。



「「……申し訳ありませんDIO様」」

「……よい。お前たちのせいではない。ただもう少し、もう少しでいいからアレには気をつけろ」

「「はい」」


テレンスとヴァニラ、DIOの側近たる二人は項垂れる。つい先ほどまでピンクのオーラを放って手芸に勤しんでいた二人もパステルカラーでフリル付の洋服を着こみ微笑んでいたが二人は正真正銘性別も心も男。DIO曰くの「アレ」によって一時的に心が女になっていたが主であるDIOによって現実世界に戻ってきた。

服装も元の男物(但しヴァニラは除く)に戻っている。


「それにしてもルイスさまの力は恐ろしいです」

「抵抗する時間もありませんでした」

しみじみ呟く二人は屋敷に在住のため、DIOの部下の中では一番被害に合いやすかった。
流石のDIOも性別学上一応息子にあたるルイスの暴挙を止められないから父親として頭を抱えている。闇の帝王たるこのDIOをここまで追い詰めるとは流石私の息子!!とか親馬鹿なことを考えているがそれはそれ、これはこれ。


DIOとルイスは整いすぎた容姿も斬新なファッションセンスもアブノーマルな性格も、普通とは異なるという点で流石親子と言える。

寧ろDIOに負けない個性は強力だ。


現在ジョースター一行がDIOの命を狙っているがルイスの存在を知ったらこんな屋敷に来るなんて、まともな神経ならまず考えない。DIO一人でも絶望的なのに……と元DIOの部下で現ジョースター一行に加わった花京院やポルナレフは何を考えているのだろうかとテレンスは思った。



「KUAAAAAAAAA!!!」

「ヒ―――ハ―――ッ!!!」


……本当にどうして私は彼らに仕えているんだろう。
現実逃避は一日一回に限る。




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