マンマ・ミーア!








ワムウはアリアと出会った時のことを懐古する。あの時の衝撃は未だ忘れない。

まだ幼いながらに整った容姿は目を引くが、何よりもその顔はよく見知った存在と非常に似通っていた。

「ひゃッ!!?(・・・カーズ様?!!)」


思わず戦士にあるまじき女子のような可愛らしい悲鳴が上がったがそれくらい衝撃的だった。ワムウが生まれた頃にはカーズは一族を滅ぼした後だったので、ワムウはカーズの幼少期は知らないがそれでも似ていると、何よりもワムウを見つめる黒真珠のような瞳の輝きはエイジャの赤石を見つけた時の主のそれと同じだ。


砂時計に宿った付喪神ともいえるのか、ワムウは砂時計と共にあることを強いられたが太陽の光さえ浴びなければ姿を現すことができる。が、何故か姿は常人には見えない。少なくとも目覚めてからワムウの姿を捉えられたのはアリアただ一人だ。


成長するにつれ益々カーズの面影は強く、それでいて女性らしさが垣間見えるアリアにワムウは父親の様な、兄の様な感情を抱く。カーズとアリアは違うと解っているが、ワムウにとって同列とは言わずとも守りたい存在には変わりない。


「ねぇ、ワムウ!きっといつかあなたにお日様をみせてあげるわ!」


太陽が苦手だと云った自身に、約束だと指を差し出すアリア。


「ああ、頼む」


ワムウはその指に自分のそれをを絡め、約束した。





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