マンマ・ミーア!






或る日、日本の片田舎で女の子が生まれた。
自然豊かなそこですくすくと成長した彼女はアリアといい、稀に見ない美少女だったが育て方がよかったのか賢くそれでいて純粋さを失わない誰にでも好かれる子だった。

名前はスイスに旅行に行った祖父母からお土産に砂時計を貰った。なぜスイス土産が砂時計かと両親は首をかしげたが、キラキラと輝くそれにアリアは喜んだ。
その晩、ベッドサイドにそのお気に入りを置いて眠ったが夜中にふと目が覚めた。

自分のベッドが大きく沈んだ反動で目を覚ましたのだ。
暗闇でよくわからなかったが、そのシルエットは彼女の父親よりも大きい。


「だぁ・・れ・?」

クシクシと目を摩りながら問うた。


影はそんなアリアをじっと見つめたかと思うと三つの音を紡ぐ。

たどたどしくその音を紡いだ後、アリアは笑った。
それ以来、毎夜アリアとその影の主はアリアが眠るまでのわずかな時間を共に過ごした。



――あれから10年。
15歳になったアリアはまるで貝から生まれた黒真珠の様な耀きを持つ麗人へと成長した。黒と白のコントラストが絶妙な容姿は日本人らしく外国では幼く見られたが、見た目以上の聡明さを持つ彼女と一度でも会話をすれば認識は反転した。

しかし、或る日のことだ。学校帰りのアリアは泣きながら帰宅し、心配する母の声も聴かず部屋に閉じこもった。
部屋に入るなり、その昔親に強請って遮光カーテンで日光を閉ざし、テーブルの上に置いてある古めの砂時計を大切そうに握ってベッドの上に座り込んだ。

彼女の手の中にある砂時計は10年経ても相変わらず輝いていた。
ポゥと光りだすそれからフヨフヨと何かが飛び出る。その異常な光景に悲鳴一つ上げずじっとそれを見つめるアリアはそれの名前を呼んだ。


「どうしよう・・・ワムウ!!


それは嘗てジョセフ・ジョースターに敗北し死んだはずの誇り高き柱の戦士だった。








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[mokuji]

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