マンマ・ミーア!






生前の記憶を持ったまま転生した人間はこの世界に一体どれだけいるだろう・・・?

こういう深い話は基本死ぬまで墓場に持っていくものだと私は思う。だって「私の前世はね〜」といって変人扱いされたくない。ただでさえ現同世代とは精神面から既に差がある。

外見だってそもそも前世日本人だったくせに今生は金髪で琥珀の眼という最早何人?って感じ。そして生まれついたのはイギリス・・・そう、イギリス。19世紀のイギリスは産業革命とかで人々のこう、熱気が凄い。そして何より貧富の差も激しかった。

私が生まれ落ちた家は没落した貴族だったらしく、今でこそ貧乏生活を送っているが両親は私に生前じゃあ滅多に使わなかったマナーを教えてきた。

ふふふ・・・伊達に20云年プラスα生きてないぜ!バッチリマスターしたぜ!
英語も流石に赤ちゃんのときから聞いていれば嫌でも覚えるよ。アメリカ英語じゃなくてクイーンズイングリッシュだよ!ちょっと憧れていたからラッキーって感じ。
言葉使いも淑女っぽく丁寧にしてるからこの貧民街じゃ目立つ。でも口悪いと両親に起こられるもの。自由なのは心の中くらいよね。

外国人の子どもの小さい時って天使かなんかじゃないかと思ってたけどそれに自分が該当するなんて思いもしなかった。こう、鏡に映った自分を見ると前世の私からしたら天使や妖精とかそんなレベルなのよ。もう、ナルシストみたいだけど私的には未だに自分の顔だと思えないのよね。

屹度フワフワなレースがふんだんにあしらわれたドレスとか似合いそう!鏡に映る私は残念なことに着古したドレスを纏っているから磨けば光る原石なのに!と非常に残念である。


はぁ・・・。幸い前世の記憶の御蔭で頭はいいもの。スタート地点が周りよりも数段前をいっているから機会さえあれば屹度上手くいく!絶対お金持ちになって綺麗なドレスを着てやるわ!

目指せシンデレラ!


「おいアリアうるせーぞ!」

げ、でた。

「ダリオ」

このムスッとしたジャイアンっぽい少年は私の幼馴染である。名前はダリオ・ポッター。
私の3つ上なのに性格が悪い。私に嫌がらせばかりしてくるけど軽くあしらっている。だって私は大人だもの。でも他の子にしたら流石にアウトだ。前世の兄から教えてもらった右ストレートを決めてやったこともあり、今では割かし大人しい。

でも学習しないのかうっかりさんなのか、意外と詰めが甘い彼は三日に一回は私にぶっ飛ばされているのである。馬鹿だ。

当初は彼の姓が「ポッター」だったから焦った。非常に焦った。
だってよく記憶持ちで転生した場合漫画とかの世界に生まれてました〜っていうじゃない?もしかして某魔法学校の主人公ですか身内ですか魔法使いですか・・・が、違った。
安心しつつ、残念なような気持ちです。

諦めきれなくてダリオに丸メガネかけてみたけど違った。
やっぱりイギリスだから期待してしまうよね。


私が生まれたのが1830年。心のふるさと、日本はまだ江戸時代だ。もう少し大きくなってから行こうと思ったけど明治入ってからじゃないと危ないからいけないなぁ。お米食べたい。味噌汁が恋しい・・・


「おい!聞いてんるのかよォ!」

ん?ああ、御免忘れてた。

「おふくろが再婚したから今日から俺はダリオ・ブランド―になった!いいか!間違えるんなよ!」


んっん〜・・・?あれ?





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