砂上の楼閣 | ナノ


05





05.


15歳でお人形遊びと30歳でお人形遊び、どっちのほうが可笑しいだろうか?




サソリに寝込みを襲われてどこかの地下アジトだろうか、人工的な灯りも最低限しか備わっていない部屋に連れてこられて声をあげることも出来ずただただサソリに体中をまさぐられもう嫁にいけない!!(笑)
ってのは冗談で字の如くサソリに身体を好き放題にされました。薬かなんかで動けないけど意識はあるし、痛覚は遮断されているのが唯一の救いだ。だが風影として、忍びとして見慣れたせいか自分の臓器だろうが大量に流れる血だろうがショック死は叶わない。

なにこれ、前世で歴史の資料集にマンガみたいに書かれていたミイラの作り方を身をもって知りたくない。だが中身だして〜しゅわしゅわの炭酸水に入れられて〜包帯でグルグル巻きにされて〜暫く寝かせる。その間に中身を瓶に詰めて保存保存♪うっとり見つめていたら怪しい人だ、ここにいる。ちよばあ様のとこのお孫様〜、美少年だから余計怖い〜、包帯取って術かけて、詰める中身は前世の日本で禁止されている危険物だよ、腕が千本増えました。はい、完成!

歌うように説明したけどスゲーうん、今まで人傀儡にした人たち、御免なさい。めちゃくちゃ怖い。でも殺してからやっていたからまだましか?うん、成仏してくれ。


サソリ君に人傀儡にされました。





***



数年経ちました。

あれから意識はあるが自由に動けません。だけど毎日俺の髪に櫛を通したり身体を拭いたり毎日メンテナンスをしてくれるのはサソリです。他の傀儡のメンテナンスもするし他の傀儡を作ったりするけど時間配分は俺に8割費やしています。サソリはどうやら里抜けしたようですがそれでも知り合いがいないのか毎日くら〜い隠れ家に引きこもる。

が、友人はいたらしい。初めてこの家に来客が訪れた。しかしセンスゼロです。うん、だって黒地に赤い雲模様のマントとか正直センス疑うわ〜しかも名前が『暁』っていう組織にサソリを勧誘している。なんだ、友達じゃないのか。サソリはあっさりOKだしたよ。あれか?今まで砂の里じゃああのチヨばあ様の孫だから誰もやらなかったけど、この子は迷惑な勧誘の断り方を知らないのか?電話口で「今おうちの方いらっしゃいますか?」って聞かれて祖母に視線で合図を送り、いつもははきはき喋るおばあちゃんが「え〜なんだって?」のエンドレスで勧誘を断るような手を知らないのか?

まあアジトに行っても俺は基本サソリの巻物の中で過ごすし、サソリが引きこもると表に出してもらえるけど基本お仲間(傀儡)と無言で待機のみだから関係ないかな?


****





大蛇丸サイド


最近暁に入ってきた男、赤砂のサソリ。初めて見た時その容貌をみて狂喜乱舞していたらしくゼツたちが引いた目をしてきたけど、美少年よ?興奮するじゃない。
なのになのになのに!!あの!外見詐欺師の中身はただのちっこいおっさんだった。

しかも口がものすごく悪いし性格も悪い。
ゼツが私たちを「ナルシストコンビ」とか言い出しやがった!いつか肥料に毒を混入してやる!

サソリったら折角の美貌を傀儡にしちゃったからマントの下は半裸なのよ?ああ、あの肌が無機質な固いものではなく、温度のある滑らかなものだったらどれほどいいか・・・。
お腹が腸の代わりにワイヤーだし、手のひらは火炎放射器だし。寝ている隙にあの穴に蜘蛛の糸のもとである、蜘蛛のはらから取り出した粘っこい液体を流し込んだら怒っちゃった。なんだスパイダーマンごっこのために作ったんじゃないのね〜。
他にも私が大蛇丸で、蛇を使っているのにアイツ、サソリの癖して赤いところと毒使いってとこ以外似てないわねって言ったら次の日、ヒルコに尻尾みたいな武器が追加されて意外と単純だと思ったわ。


まああのチビも私とは母親と息子くらいに歳がはなれているから基本こっちが寛大になるのよ。でも、偶には親孝行してほしいじゃない?だから


「その子、私にちょうだい」

「ああっ?!!
・・・お前なんかの視界に入れることすら嫌だったのに」



あの三代目風影を持っているなんて思わないじゃない。ノックもなしにドアを開けたら思春期って歳でもないくせに怒っちゃって、借りるつもりだった本を勝手に探していたらベットの上に座る美麗な傀儡。生きていないものに興味がなかったはずなのにこの私をこんなにも興奮させるなんて!!
その傀儡に見惚れていたら黙っている私を不審に思ったのか、勝手に持っていけと言ったきり傀儡作りに勤しんでいたサソリが首だけ180度回転させて私に向かって毒薬ブン投げてきたの。酷いわよね、変わり身を使って避けたらあの風影を必死で拭いていた。

曰く「てめーの視線で俺の白砂が汚れた」とか。失礼しちゃうわ。


私がイタチに負けて暁を出ていくまで、サソリと風影(の傀儡)を巡っての争いは絶えることなどなかった。





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