砂上の楼閣 | ナノ


04


04.

人傀儡になってしまいました。

いくら歴代最強だとかいわれても俺も人間、三徹どころか五徹目に突入して何故か木の葉との同盟のため砂漠越えをすること三日間。部下がいるとはいえまだまだ戦乱の世でぐっすり寝れるわけもなく、というか寝たら最後暗殺者がきても起きる自信がない。
木の葉で俺より年若い火影、しかも既婚者(このイケメンリア充爆発しろ!)とか羨ましいこと限りない。
もう三十路なのに未だ恋人イナイ歴=年齢という俺に対する嫌味か?!
何故か一夜を共にした女性にさっさと身支度してベッドで( ゚Д゚)ポカーンてしている俺を見もせずに帰られてそれ以降全く繋がりがなくなるとか・・・

とっかえひっかえしたくてしているんじゃない、
なんなら責任取ってもいいって!
でも皆「私には耐えられない!!」っとかいって泣きながらどっかいくし・・・

あれか?もしかして俺じゃ満足できないとか?
俺縛るとかマニアックなプレイはやっていないよ?むしろした方がよかったの?


まあ話は逸れたが、木の葉との同盟も組み、砂に帰ってきてもう十徹近くなると人格もおかしくなるよね。
いいんだ!もう、恋人何ていらない!おれにはこの枕、お前がいればそれでいい!!他の事なんてもう、どうでもいいさ・・・


「ほんとですか!嬉しい、俺もです、貴方以外要らない」


あれ?俺誰と話してるの?




***

サソリサイド




風影様は忙しさに拍車がかかった。
俺と一緒に傀儡を作る時間さえ取れず、毎日寝ずに書類整理やこの間は木の葉へ同盟のため護衛を連れて行った。

会えないのは俺も嫌だったけど、俺がしようとしていることは、まだあの人にばれてはいけないからかえって好都合だ。

ヒルコ、イヨ、ハガネ…ビンゴブックに載っているような強い忍びを殺し、特殊な術をかけその肉片を傀儡へと変えることで完成させる人傀儡を作れるのは俺とあの人だけだ。

だが俺はそこから更に傀儡に意志を持たせることを研究していた。
俺自身が、そしてあの人が傀儡の身体になって生きるためにも必要不可欠なそれをやっと俺は分かった。
今の肉体を小さな、核と呼ばれるものに凝縮するよう変化させ、傀儡体に憑依させる。
どれだけ精巧につくられた人形でも人間に成りえないのは、人間の心を映すとも言える『目』が人形たちには欠落していたからだ。人形に意志が芽生えると、まるで生きた人間のようだと言われるように、大事なのは形じゃないことが分かった。
昔、俺が初めて作った傀儡があの人に似ても似つかないと思ったのはあれが『生きて』いないからだ。もし、そう、あの体があの人のように俺の頭を人形自身の意志で撫でていたら、それはもう生きているといえるだろう。


木の葉から帰還したあの人は自室に籠って疲れをいやしている。
あの人に纏わりつく女(男もいるが)たちは俺が妨害しなくても、ただ一度あの人に抱かれると自分からあの人の下を去っていく。
アイツらは解っているんだ・・・
あの人がどれだけ尊いのか、
どれだけ美しいのか、
どれだけ、
決して自分と同じところに立っていないのかを・・・

それでも一晩経ってから出ていくのは奴らなりのけじめだ。
後悔しないように、もう二度と会えないであろう、ただ遠くからしか見守れない人を最後に一目だけでも近くで見ようとあがくのだ。


俺はそんな奴らとは違う。
俺は我慢しない、
諦めない。
欲しいものは自分で奪う、ただそれだけだ。


ギシリとベッドが軋む、
目の前にはとても三十代とは思えない端正な、澄み切った顔。
木の葉の新しい火影と並んでいても同世代と勘違いしそうだが、この人が纏うのは歳相応の色気を多大に含んでいるからさぞかし隣にたった時自分との差が理解できただろう火影の心情を考え笑う。


「……俺と、一緒に永遠を生きましょう?風影さま」


寝ているはず、だがあの人は俺の気配に気づき起きたらしい(流石だ)
それでも黙っている彼に続ける。


「俺には今も昔も貴方だけです。俺のモノになってください」

そして彼に隠していた人傀儡のことを話す。自分が、そして貴方にこれからそれをするつもりだと。すると、彼は俺にその逞しい両腕を回し強く抱きしめ、

「いいんだ、もう…おれにはこの、お前がいればそれでいい!!他の事なんてもう、どうでもいいさ・・・」


ああ、彼も俺と同じ気持ちだったんだ…

「ほんとですか!嬉しい、俺もです、貴方以外要らない」



さあ、一緒に逝きましょう?

長い永久を・・・




***


こうして彼はフラグを建設したのだった・・・
もう少し続きます。



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