砂上の楼閣 | ナノ


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「あれがマダラか」

「俺の白砂の方が美しい」

「誰も聞いてねぇぞ、うん」

「黙れデイダラ。その髷引っこ抜くぞ」


現在、俺はデイダラの鳥の上でサソリを膝に乗せて、上空からマダラVS連合軍を見ている。
そのことから解ってもらえると思うが、穢土転生体はとっくに解除してある。マダラは自力でその術を解除し、今は輪廻転生の機会を窺っているが、


「俺の白砂と比べること自体ナンセンス」


イタチもマダラ同様術を解除してここにいる。

え〜と思うだろう。俺はあのイタチとサスケの別れの場面が好きだった。好きだったのにカブトとの兄弟タッグの対決もなく、俺の尻という世界の命運と比べ物にならないものを争って、歴代火影まで呼び寄せた現実。前世の友人が知れば、俺は後ろから刺されかねん。


デイダラ達から外の状況を聞いた二代目達はすぐに向かおうとした。が、

「まだ話はついてませんよ。さぁ、選んでください」
「そうだ、選べ。勿論俺だよなァ?」
「俺に決まってるだろう」
「ふ、お前ら歳を考えろ」
「パッパッと決めてください!」

立ち塞がる馬鹿五名。
流石の俺もいい加減キレた。「ふざけるな」と。

その後何を云ったか覚えていない。ただ息を乱した俺を見つめる視線が嫌に熱かったのを覚えている。一部頬を紅潮させていたし、俺を理解不能と微妙な眼差しを送っていた二代目までもが、温かい眼差しに変わっている。


「初代たちに一目置かれるとは、流石あの三代目風影」とかテンゾウが感心したように呟いたけど、流石ってなに!?

じゃあ指揮は任せるとか、肩に置かれた二代目の手が憎い。

頼りにしているぞ!と笑う初代黙れ。

その孫の成長を見たと謂わんばかりの嬉しそうな顔を引き締めろ三代目。


そして俺の周りに引っ付いて「流石よ(です)白砂」とかすり寄る五人も離れろ。



なんて、チキンな俺が云えるはずなかった。


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