13
「テメェ、白砂から離れろ」
「え〜〜」
何故こうなった(前回に続いて二度目)。
右腕に引っ付くのはサソリ。何故か身長が日によって変わるが、今日は何時もより小さいサイズである。
左腕に引っ付くのは金髪イケメン。見覚えは或る、が、本人でないことを期待したいが、彼はその背名に自分の身分を背負っている。ああ、何故こうなった(三度目)。
俺の胸元くらいの身長しかないサソリとは違って、俺より若干小さいがそれでも一般的な成人男性サイズな彼、四代目火影こと波風ミナト。
若くして(俺もだけど)影の座についたミナト君とは、一応生前に何度か顔を合わせたことがある。若い者同士の苦労というか、戦争を回避しようと奮闘していた俺と意気投合。休戦条約も彼が木の葉、俺が砂を説得して上手くまとまったと思っている。
誰もが認める正統派イケメンが、サソリに対抗するかのように俺に引っ付いている。これはどういうことだ?
「おい、男同士でなにをしている」
心底気持ち悪いものを見たと顔を歪める二代目火影。いいぞ、もっと言ってくれ。
「フン。外野は好きなだけ云えばいい。聞くだけ聞いてやらァよ」
なぁ、白砂?と同意を求められても困るぞよ。あ、初代の口癖移った。
サソリの反応に眉を顰めた二代目は再びを口を開いた。
「お前、マダラみたいになるぞ」
「ああ?!」
チヨバア様のキレた時に酷似しているサソリの鬼のような顔に内心ビビる俺は、三代目からの憐れみの篭った眼差しに気づかない。
二代目は嘗て初代に対するマダラの異常な行動とサソリの反応を重ね、益々その疑惑を確信へと変えていく。メンドくさそうな人種だと判断した二代目はサソリから視線をずらし、隣で引っ付いているもう一人へと問いかけた。
「で、何故四代目とやらもソイツに抱き付いている?」
「え?俺が白砂さんにくっつきたいからです、よ?」
何言ってんのこの人的なニュアンスで返された二代目は顔を覆った。ガハハハハとアホ面で笑っている兄は使い物にはならん、と存在を無視し、現実を憂いた。
思えば二代目の周りにはよくホ○がいた。
マダラとかマダラとかマダラとか。兄者の尻が狙われんように警戒していた自分は何だかんだで結婚もせず、仕事一筋で若くして殉職。ああ、なんて廃れた灰色な人生だっただろうか。
二代目に存在を無視された初代は漸く笑い声以外の音を発した。
「ところで俺らを呼び出した理由はなんぞ?」
一瞬、静寂。
あ、と水月が止める前に彼らは揃って口を開いた。
「「「誰が白砂に一番相応しいか判決してもらうため(だ/です)」」」
「「「……」」」
初代から三代目までが閉口した。
「因みに私も候補に入れてくださいね」と大蛇丸が云う。
「え!俺もそれに参加したい!」とミナトが云う。
現実逃避を始めた火影たちの内、感知タイプである二代目は無意識にその力を使っていた。そして気づく、
「おい、外のあの禍々しいチャクラはなんだ?」
「……」
白砂だけが、今の外の状況を知っていた。二代目の問いに答えたのは、サスケと対戦せず生き残っていたデイダラと彼の術に乗ってきたテンゾウの「この戦争中に何やってんだよ!!!」である。
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