砂上の楼閣 | ナノ


忍界のコナン君(サソリ)





 俺は今後のことを考えた。時間だけはたっぷりあったから問題ない。
まず里抜けはしねぇ。これ絶対。だって里抜け=暁行きで、あそこには俺の白砂を狙う生物がうろちょろしてる。なまじどいつもこいつも実力だけはあるから厄介だ。
 次にもう影になっちまった白砂は仕方がないが問題は俺。前回同様実力を発揮すれば否応なしに任務で引っ張りだこ、かと言って手を抜いて周囲から舐められるとか耐えきれねぇ。白砂直属の暗部ってのも魅力的だが任務で時間が削られるのは必須だ。一番いいのは里に引きこもっていても文句を言われない立場且つ白砂の傍に引っ付いていられる。

 暫くして俺の耳に届いたのは砂の人柱力が弱っているという話だった。そこから思い出したのは人柱力の選ばれる基準。里を裏切らないように彼らの大半はその素質以外に影の身内に多いことだ。現風影の白砂には子どもも身内もいない。よってその他の上役から選ばれるだろう。そしてその上役には当然俺のババアが存在する。
 後で知ったことだが前も似たようなことがあったらしい。だが人柱力の爺はしぶとく生き残った。それで次に後を継いだのが赤毛の五代目風影だ。我愛羅とかいうガキとナルトは赤子の時に尾獣を入れられたが、普通はもう少し成長してからだ。

 俺にはその条件が全て揃っていた。ようは爺が死ねばその役は俺に回ってくる。今更里の人間から恨まれようと憎まれようと知ったこっちゃねぇ・・・人柱力は里から出ちゃ駄目?OKOK!引きこもって傀儡作りに勤しめる。裏切らないように風影が監視することにすれば白砂と暮らせる。今更死に別れた両親と生活したいと思うほどガキじゃない、俺は暁を脱退した日から愛に生きると決めたんだ。寧ろあれは寿退社だ。

 ニヤリと三歳児らしからぬ顔で哂うサソリは邪魔な存在を消すために、印を組む。
ポンと白い煙の立ち込める中から現れたのは橙色の髪を持ち顔に複数のピアスをつけた怪しい男だった。ペインの姿に変化したサソリは姿見でクルリと全体を確認する。

「リーダーなら見た目だけで充分怪しいからこれでいいな」

ついでにチャクラ性質で正体がばれないように特殊な薬を飲み込む。どこからどうみてもペイン。敢えて輪廻眼は目立つからと唯の黒に変えたが、額当てに横一文字に入った傷は抜け忍の証で、恐らく砂忍は同里の人間の仕業とは思わないだろう。


「俺は人柱力になる」


嘗て幼き英雄が火影になると力強く宣言していたように赤毛の見た目は幼児、中身はおっさんな赤砂のサソリは宣誓した。二巡目の世界は早くも前回とは異なった道を歩み始めたのである。




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