砂上の楼閣 | ナノ


早くも諦めた(主人公)




 気が付くと同じ人生を再スタートしていた。それに諸手を挙げて喜んだのは俺だ。サソリによる軟禁やら監禁やら拘禁やら・・・あれ、殆ど同じじゃない?嫌々レベルが違う。兎に角サソリと二人でランデブーな生活が幕を下ろした。今度こそヤンデレルートは回避しよう!ついでに風影なんて御免だぜ!な二度目の人生を送っていたらなんてこった。

 (ま、た、か、よ!!)

その一、先代(二代目)に騙されて三徹後の疲れ果てた頃に見せられた書類をよく確認もせず判を押したことで風影になっていた。
その二、サソリ(生後1か月)と対面したが・・・こいつ(前回の)記憶ある!!何故かというと少し時間を遡る。

 俺みたいな不愛想な奴にも普通に接してくれる友人の死亡フラグを折っていたら、俺のフラグが乱立していた。手渡されて抱っこすると赤ん坊とは思えない力で引っ付いてる。これチャクラ使ってない?

「アハハ!サソリは凄いな!もうチャクラが練れるのか!」
「・・・おい、(なんで笑ってられるの?!)」
「ああ、御免。白砂はサソリと暫くお留守番しておくれ」
「(え、これと二人っきり?いや待て、まだ相手は赤子だ。すぐに俺を殺して傀儡にすることはない、はず・・・)はぁ。」
「ん、宜しくな」

アイツが去った後、俺の気を引くように胸倉を紅葉のような手の平ペチぺチ叩いた。何この子可愛い。

「うう゛〜〜〜ッ!!」
「……サソリ、か?」
「ッ!!」


 名前を呼べばそれが自分の事だと理解している。何だか見慣れた物騒な双眸に、あ、コイツ記憶あると背筋が凍った。可愛らしくキャラキャラ笑ったかと思えば突然「絶望した!世界を壊してやる!無限月読の世界を創らなければ!」みたいなどこぞのヤンデレ三十路みたいなになったりと忙しい子だな〜とある意味感心した。
 取りあえず十八番の笑って誤魔化せを選択しておいた。
 
「大丈夫だ、サソリ。俺にはお前だけだよ」

途端とろ〜んと瞳を蕩けさせ華を飛ばすサソリの今後を考えて一人こっそりと溜息をはいた。





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