05
主人公SIDE
死んだ。
成仏した。
昇天した。
事切れた。
心中した。
言い方は色々あるが、俺は確かにサソリと一緒に終わりを迎え、傀儡の身体から魂が消えていくのを感じた。
そう、感じたのだ。死んだのならそんな感覚が分かるはずもなく、気が付けば俺は、俺は・・・・
「何で…何で……何で我愛羅ばっかり!!」
「やっと、まだ風影になったばかりなんだぞ…」
NARUTOの主人公、だってばよ!少年が熱くシャウトしている現場にいた。何故だ
そしてそのすぐ近くに俺のトラウマこと破壊神ピンクちゃんが君臨している。
こ、ここで出ていけば今度こそ殺されるううううう!!
草原の影に隠れ様子を窺っていたけど如何やら俺はちゃんと死んだらしい。彼らの視界に映る範囲に出てきても何も言われない。
つまり今の俺は幽霊。
何で成仏しなかったのかと問いたいが、如何せん好奇心が前に出てきた。大事なことだからちゃんと考えて成仏しておけばよかったと後で後悔したがこの時、俺は原作を思い出した。
思い出してチヨさまが術で我愛羅を生き返らせる瞬間をもっと近くで見たいな〜とか馬鹿なことを考えてしまった。
あれだ、映画館で席を選ぶとき最後尾か最前列しか開いてなかったら前に行く的な・・・
兎にも角にも「チャクラが足りぬ!」というチヨさまに「俺のを使ってくれ」と近寄るナルト少年に便乗してふよふよと近づいてしまった。
さっきまで水溜りレベルだった術が滝壺のような激しさをもって我愛羅の中にチャクラが流れていくのに呼応して、
お、れ、も、吸い込まれているうううう!!!!
おんぼろ掃除機から高性能掃除機に変えたら、今まで間違って吸ってしまった物も一瞬で消える様に抵抗する暇もなく、俺も我愛羅の中にinされた。
そこは干上がったような地面で、真ん中にポツンと座り込む少年が一瞬サソリに思えたが後ろでナルト少年が呼ぶ名前に誰だったか思い出す。
反応しないから気づいていないのかと思って
「ほら、お前のことだよ」
トントンと優しく頭を叩くように撫でた。
少年、我愛羅が面を上げれば目が合う。
「いっておいで」
後ろからナルトの声が聞こえる。ってか五月蠅い。あの子友達の家行っても呼鈴要らずだわ。
「いいよ。だって“我愛羅”を呼んでるんだからさ、当たり前だろう」
「お前も一緒がいい、来て」
え?この子何言ってるの?しかも上目遣いだと?!あ、あざといぜ!
服を引かれ困った。どうしようか。
「俺はいけない。でもお前の傍に居よう」
――・・・トン!
取りあえずこの子が向こうに戻れば俺も消えるだろう。安易に考えていた俺をあざ笑う様に運命の神様はこの後とんでもないことをしてくれるが今はまだ解るはずもない。
背中を押し、前のめりになりそうになった我愛羅をナルトが手を掴み、仲間たちのもとに連れて行った。
振り返った我愛羅にこれから彼らがマダラだとか忍界大戦だとかで大変だろうなと思うが俺は知らん!確か原作で俺(三代目風影)は出てこないはずだ。
良かった、俺四代目じゃなくて!我愛羅パパじゃなくてよかった!
サソリは呼び出されるけど俺は違う。これがほんとに最後だと思うと自然と顔が緩む。
頑張れよーと意味を籠めて我愛羅に笑い返した。
しかし!彼は既に立てていたのだ!今後のあらゆるフラグを!!
***
次回予告
「お、お前のその後ろにいるのは誰だ!!?」
「ふ、見えていても所詮お前たちには触れることすら出来ない。俺の幽波紋、最強の三代目風影だ!!」
五代目風影が戦場を駆ける!
砂と三代目風影を侍らせ、この世に甦った亡者たちを倒していく。
そして、
「・・・お前で最後だ」
「なんで!どうしてお前がそこにいる・・・白砂!!!!」
「無駄だ、三代目は俺の幽波紋。お前を今からあの世に送り返してやる」
「くそおおおおお!!!」
対峙する我愛羅とサソリ。一人は絶対的自信を、一人は絶望と憎悪を籠めて、今、立ち向かう!!
「俺の三代目の前ではお前はもう・・・・死んでいる」
・・・・はい、嘘予告でした。中二全開な我愛羅くんでお送りしました(笑)
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