砂上の楼閣 | ナノ


08





今思い返すと俺の人生とは何とも数奇なものだ。
或る日人生黒歴史モード(=赤ん坊)からスタートしたらここがNARUTOとか危険極まりない世界だし、俺いつの間にか風影とかになってるし、しかもそれが敵キャラのお気に入りの人傀儡にされる人物だと気づいた頃には全て遅かった。
そして何故か自己を保ったまま生き続けて精神年齢はお爺ちゃん。風影になった時点での夢は今生こそ可愛い嫁さん貰って子どもも生まれて、最後は孫たちに囲まれて息を引き取る、つもりだったのに!!

可愛い嫁さんはお世辞抜きで可愛い。傀儡でも外見30代のままの俺の隣を歩くその子は俺の半分の外見の15歳のままだ。一見すると俺が補導されかねん。だがその中身は35歳。俺の前では可愛く甘えてくるが、それ以外の前では「うぜぇ、消えろソォラァ!」と毒物をたっぷりしみこませた武器を投げつける始末。夫婦喧嘩は勝てる自信もない。だから俺は素直にしたがっている。……そう、たとえ俺の嫁が同性であの赤砂のサソリであっても!!


やだもう俺ショタコンでもホモでもないのに!!だが容姿だけならサソリは極上だ。永遠の美少年?美中年?どちらにしろ、女性人気が高いキャラだけあり街中を歩くだけであらゆる視線を集める。


そんなサソリに対抗できる数少ない美形ことうちはイタチ。なんと俺は今前世の女友達に嫉妬されそうな状況にある。

周りには逃げないよう一応イタチに拘束された俺を囲むように立ち塞がるサソリ、イタチ、そしてサスケ。まさか俺(三代目風影)がこの戦争に参加するとは思いもしなかったが、あの感動的なうちは兄弟の別れのシーンを視れるかもしれないと、ちょっと興奮している。


「まさかサスケまでここにくるとはな……」


若干声が上擦ったが仕方がない。だって本物のサスケだし!何を隠そう俺はNARUTOキャラの中でもサスケが好きだ。弟にしたい。ツンデレとか最高だろう。

俺の視線に不穏な色でもブラコンレーダーで感じ取ったのか、イタチに睨まれた。隣のサソリなんかは今にも射殺さんと謂わんばかりに瞳孔を開いてサスケを凝視する。


「……あんたはだれだ?」


そしてサスケも不審なおっさんを警戒する女子高生のような視線を俺に呉れる。御免なさい、俺にそんな趣味は無いんです。実際サソリとそういうことはしてますけどね、俺はノンケだ。説得力なくてもショタコンではない。だからイタチさんも写輪眼をお納め下さい!!早口に俺は元風影で今はサソリの傀儡だと答えた。若干サソリが不機嫌そうだけど今は気にしない!

俺の切実な願いを感じ取ったのか、イタチもサスケも若干警戒を緩めた。
そうそう、俺は無害ですよ〜ヘタレですよ〜何にもできませんよ〜と笑っていると……


「もう我慢できない!!白砂!お前は俺のモノだ!美しく完璧なお前の隣に相応しいのはこんな老け顔でも青臭い餓鬼でもないッ!俺だ、俺だけだッ!!」


とうとう嫁の堪忍袋の緒が切れた。
ひょっとしてあれか、老け顔=イタチ、青臭い餓鬼=サスケか。恐る恐るうちは兄弟に視線を向ければヒィィィィィィッ!超怖ぇ!怒ってる、怒ってますよ彼ら!!


「サソリさんだって唯のちっこいおっさんじゃないですか」
「年寄りの阿婆擦れは黙ってろ」


やめろうちは兄弟!うちのサソリ君は心が狭いんだ!そんなこと言えば


「ああ?上等じゃねぇかクソガキ共。誰が何と言おうと白砂に相応しいのは俺だけだ」

「……なら第三者に判断してもらおう」

「ああ、イタチの言う通りだ。丁度近くにカブトがいる」

「ならそいつにしよう」

「フン……」



お前ら、今忍界大戦中だった覚えてる?




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