砂上の楼閣 | ナノ


03



ギリギリと胃が痛いと訴えるとする。普通の人間なら「病院に行け」と謂われるところだがしかし、生憎と俺の腹にはその胃がないためどんな名医でも匙を投げるだろう。病院に行けないならこの体を作った製作者に言えばいいのだが、その製作者が胃痛の原因なのだから、もうどうしようもない。


一体どこに向かってシャウトしているのか、つい先日から動物の泣き声以外静かだった森から人間の聲が響き渡っている。ラップとだってばよ!のオンパレード・・・俺の胃の軋む音に重なるようにパリンと今日も湯呑が一つ割れた。

なし崩し、流れで嫁になったサソリよ、怖いです。
ここに引っ越してきてから一日一回体験しているサソリの目を見開いた顔を新しい住人が来てから十倍近くに増えた。俺もそうだけど、傀儡だから首も360度回る。悲鳴が聞こえたほうに行き成り首を回すのを目撃している俺のことも考えてほしい。




新しい住人はまず二人だった。
キラービーと雲隠れの忍び1名、

次に来たのはなんてことだ、以前遭遇した木の葉の人柱力だった。
ナルト、木遁、鳥、おかっぱの4人。


状況的に暁から彼ら人柱力を護るためにここに連れてきたのだろう。サソリと相談した結果、無意味な争いを避ける為彼らと不可侵条約を結ぶことにした。
当然俺たち(主にサソリ)を信用していない彼らに、元々ここは俺が三代目雷影から譲り受けたという書状をみせ、極力近づかないと誓った。こんな時、表ではサソリに殺された被害者(実際は夜這いされあれよあれよと傀儡にされた情けない風影)の立場は有効的だった。



まあサソリ一人でも向こうの護衛たち殺せるし、ぶっちゃけ俺もチートだし、こっちが有利だよな。サソリが前回チヨバアさまたちに追い詰められたのは、チヨさまがサソリに傀儡を教えたという一番大事な基礎を彼女が知っていたからサソリの攻撃躱せたし、隙も作れたのだ。本来サソリは大蛇丸に匹敵する実力者・・・

不思議なことに大蛇丸VSイタチはイタチの勝ちだが対自来也だと、イタチは苦戦するが大蛇丸は勝ち越しているという。まあこれもお互いの戦闘スタイルによる結果だが。



兎にも角にも、サソリたちは自他ともに認める実力者である。
もしも第四次忍界大戦がはじまったとしたら、マダラも連合軍も咽から手が出るほど欲しい戦力だった。ヤマト達は彼らと不可侵条約を結んだとはいえ、狡猾だった。連合軍は今一人でも多くの戦力を欲している、敵の戦力が未知数だからだ。ナルトたちの護衛に付いている以上自分たちは戦場に出れない、そしてここに住む二人が自分たちより強いことは感じ取っていた。だから・・・


「よし、これで報告は終わったね」

「でもいいのか?元敵とはいえ、仮にも不可侵条約を結んだ相手だぞ?」

「今はそんなことを言っている暇はない。赤砂は兎も角、三代目風影は三代目雷影様と一対一でやり合って、引き分けた忍びなんだぞ」

「確かに穏やかそうな人だった。四代目火影も彼を尊敬していたしな・・」


本人たちの知らぬところで、話は進められていたのである。




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