木下闇 | ナノ


▽ あの人は尊い犠牲となったんだ

「イタチよ、何か言うことはあるか」

「…カカシさんは犠牲になったのだ」

「何が犠牲だ!ホントすみません!妹莫迦(イタチ)がすみません!」

「シスイ、俺の名前はそんな字じゃない」

「お前はいいから黙ってろ!」


保護者(シスイ)が呼び出しをくらった。必死に頭を下げている。三代目は疲れた様に目を伏せた。


「三代目、御高齢なんですから無理をしないで下さい」

「そうじゃの」

「馬鹿!イタチの馬鹿!お前のせいだろ!」

「俺は馬鹿じゃない。シスイより賢い」

「ああそうだな。ついでに常識の意味を調べて覚え直せ!なんで万華鏡写輪眼?!しかも月読使うの?!」

「過去のトラウマだけをループさせる限定イザナミを使わなかっただけの理性はあった」

「そこだけ誇るな!」


普通にしていたらイタチに万華鏡写輪眼は鬼に金棒なのに、妹が関わったイタチだと碌なことにならない。全部のうちはが例の病気を患うことはないが、こういう奴に限って力も病気も手に入れちゃうんだよな、と常識的なうちはのシスイは世の無常を嘆いた。


「あいわかった。イタチ、理由があろうが里の仲間を傷つけたお前には今回の罰として次の火影を連れてきてほしい」


ずっと黙っていた三代目から綱手姫捜索任務が言い渡された。




綱手捜索に駆り出されるメンバーはイタチとウキナ、サスケ、ナルト、サクラ、そして自来也。さらに、


「あ〜その、二代目も来るのか?」

「ウキナがいない木の葉など木遁が使えない兄者と同じだ」

スマン、意味が分かりませんと扉間に謂えば「要するにただの馬鹿だ」と返される。酷い。


「なあ二代目のおっちゃん!さっきから気になってたんだけどなんでカカシ先生―担いでんの?」

元気よく、訊ねたナルトの問いに応えたのは訊ねられた本人ではなく、ウキナである。

「これでも里の誉、カカシ君がいないと一部の任務が片付きませんからね。一刻も早く治して頂きたいのでどうせ綱手ちゃんのところに行くならついでに、と思いまして。治療後すぐの別件に飛んでいただくので任務も預かってます」


鬼だ、人の皮を被った鬼がいる。その発言さえなければ傾世の美少女なのに非常に残念だ、と自来也は思った。今回のカカシが倒れた理由を知っている分、イタチも動向する以上ワシも必要以上に近づかないようにしておこう。
それに久しぶりに綱手に会えるしな。

思わず微笑んだ自来也は知らない、イタチと扉間のくだらない喧嘩の仲裁として選ばれたことを。
自来也もまたウキナに気に入られ、今度は扉間に嫉妬されることを。


彼が今回の任務を承諾したことを後悔するのはもうすぐである。





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