▽ 後、5
俺とウキナが予想した通り、マダラの呪いでウキナはこの世界に生まれついたらしい。後は約束通り俺が大蛇丸とかいう蛇男の穢土転生で甦り、アイツの下に戻ればいい。今度は火影という地位も、千手という縛りも気にしなくていい、ただ純粋にアイツの傍にいられる。
そのことを考えて自然と口端が上がった。俺にここまで思わせるのは今も昔もアイツ――ウキナだけだ。
そして同時に、いつの時代も俺たちの仲を邪魔するのは奴ら(うちは)しかいない。
「二つまでですか…まあ好いでしょう」
外から声が聞こえた。
「何が好いものか!事もあろうに“あの方々”に元とはいえ木の葉の、それも我が弟子がしたこの仕
打ち、到底償いきれぬわ」
――ギィィィ…ガコンッ!!
ああ、眩しい、だが懐かしい景色だ。
大蛇丸が口寄せしたのだろう、久方ぶりの下界に眩しいと目を細める。
中から出てきた自分たちを悲痛そうに見つめる猿よりもウキナがよかったとか思ったが、流石に場違いかと思って黙っていることにした。とりあえず、
「久しぶりよのぉ・・・サル」
「ほぉ、お前か・・・年を取ったな猿飛」
ああ、兄じゃもいるのか。
「まさかこのようなことで御兄弟お二人にお会いしようとは・・・残念です。
覚悟してくだされ、
…初代様、二代目様!!」
「ふふ…年老いた人間の井戸端会議ほど無駄なものはありませんよ。所で先生?あの子はどこですか?」
「大蛇丸!!?貴様まさかッ!!」
そうだ、アイツはどこだとサルたちの方を見れば何やら驚愕していた。
「猿飛先生が考えている通りですよ。さあ二代目、あの子を手に入れて頂戴!」
ドッカーン!!
遠方より凄まじい衝撃音が届いた。
呆気にとられるサルたちとは余所に俺と兄者には覚えがあった。あれは、
「須佐能乎だな」
「うちはか」
それも例の病気を患っている方の、と続ける。厄介な。
生須佐能乎を見たのは初めてなのだろう。顔を輝かせる大蛇丸とは対照的に青ざめたサルが面白かった。
兎も角、
「兄者俺は行く」
「死んでも相変わらずだな!」
「死んだからこそ、だ」
「…そうか」
「なら止められんな」と柱間が苦笑する。
そんな兄に不敵な笑みで応えた扉間はそのままいつもの何を考えているか分からない顔で、どこか諦めた眼差しを向けるサルに呼びかけた。
「サル」
「…はい」
「後で今生のウキナの生まれた瞬間から今日までの写真を用意しておけ」
「あんたこんな時に何命令してるんですか!?」
何を言っている?俺は何時だって不必要なことは言わん。知っているだろう?と問いかければ深々と溜息を吐かれた。おいそれが師匠に対する態度か。
「もういいです。勝手にしてください」
「よし、今言ったこと忘れるなよ」
言質は取ったと俺は今後のことを考えながらウキナのところまで避雷神した。
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