木下闇 | ナノ


▽ 後、9




「うちははまだかーっ!!」
「いつまで待たせる気だー!!」


ザワザワと盛り上がる周囲は不満モードに包まれている。サスケの遅刻で楽しみにしてきた観客が騒いでいるのだ。

ウキナが嘗て世話をした可愛い子どもたち、テッペイとアキコ―年老いたが笑った顔は昔の面影が色濃く残っている―は態々日よけのパラソルも設置した大名家の観覧席に負けないくらい豪勢な席を用意していた。二人に「ありがとう」と感謝し、甲斐甲斐しく世話を焼く兄と会話したり目下の試合を見たりと本当に原作通り進む試合展開に可笑しそうに嗤った。



「もう少し……」
「ん?ウキナ、何か言ったか?」
「いいえ?」


これから始まる木の葉崩しという名の里を巻き込んだはた迷惑なオカマによる下剋上失敗劇とついでに忍びの神とまで謳われた初代や卑劣様と称された元夫がその阿呆に奴隷のように働かされる情けない現実が待ち遠しいなんて実兄でも云えるものですか!!



「……本戦に遅刻とはナンセンス。愚弟が」
「?珍しくサスケ兄さんにも毒舌ですね」
「……そうか?」
「はい」


本当に珍しい。口を開けばウキナかサスケと団子しか言わない人なのに・・・そして何故か異様に構ってくるイタチとイルミがダブって見えたけど気のせいと思いたい。いつかヤンデレが爆発しそうで怖いと身を震わせればそっと上着を掛けてくれた。

そうこうしている内にシカマルの試合が前倒しになり、苛立つ我愛羅の血管がプッツンする前に漸く登場した今生の兄に溜息をついた。





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